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「のんちゃんは広島弁を音楽だと思って聞いてるんだな」映画『この世界の片隅に』の監督が感じたこと

「この世界の片隅に」原作者と監督が語る漫画のこと、映画のこと#2

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のんちゃんは「○○しちゃったんですか?」と困惑

こうの 脚本とかセリフにはない、うめき声みたいなのもよかったですね。

──20日と21日は、広島と呉で上映があったんですけど、そのときに広島と呉のメディアの人たちは「広島弁すごいよかったですよ」って、のんさんに伝えてました。のんさんも、そこがいちばん心配だったので、ほっとしました、と。それがうれしかったそうです。

映画「この世界の片隅に」関わったチーム一同で受賞した第65回菊池寛賞授賞式にて ©文藝春秋

片渕 ただ、地元のメディアの方が「○○しちゃった」といっていたのを、のんちゃんは「○○しちゃったんですか?」と困惑していたんですね。しまった、これは台本にひとつもない言葉だし、まだ教えていなかったなぁ、と。

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こうの ちょっと説明しますと、「○○しちゃった」というのは、広島では敬語として使うんですよ。「○○していらっしゃった」とか「○○なさった」という意味なんですね。地元の人はよそでも通じると思って使っちゃうんです。

片渕 のんちゃんにあわてて教えたら、「○○しちゃった、ですか。かわいいですね!」って(笑)。

こうの 「○○しちゃった」が通じないのはわかっていたので、作中では使えなかった。「しとってじゃ」も敬語で、こちらは通じるのかと思ったんですけど、監督には通じませんでしたね。

片渕 「○○しちゃった」は『マイマイ新子と千年の魔法』が防府だったのでわかったんですけど、「しとってじゃ」は通じなかったですね。

「のんちゃんは広島弁を音楽だと思って聞いてるんだな」映画『この世界の片隅に』の監督が感じたこと

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