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東京堂ブランドの集客力

 2階、3階のディープな品揃えを通じて、他にはない東京堂書店ならではのお客様を引きつけ、出版社や著者からも信頼が篤い。新刊刊行や周年のタイミングで、フェアやイベントの引き合いも多いという。書店でのイベントというと、新刊購入を条件に入場無料というものが多いが、東京堂書店では、ワンドリンク+入場料で800円という有償のものが中心だ(2月取材時現在)。東京堂ホールという専用のイベントスペースを持ち、人文系、芸術系など、硬派なジャンルの出版社であっても、東京堂というブランドで、ある程度の集客が見込める強みを発揮している。
 

 1階エスカレーター脇の壁面のフェアもなかなかの迫力だ。取材時は、書評専門紙、図書新聞の「時代を読み解く書物」と「市川崑生誕100周年記念映画祭選書フェア」をやっていた。東京堂ブランドを活かして、他ではなかなかできない、硬派な企画が多い。

市川崑の生誕100年記念フェア。
フェア棚に当たる照明がスタイリッシュ。

 イベント担当をしている小山さんによると、最近は、本好きのタレントさんのトーク&サイン会や、BLをテーマにしたトークショウを開催するなど、意識してイベントの幅を拡げているのだそうだ。そうしたイベントの前後には、店内にいつものお客様とは違った方が見られるという。カフェ併設店へのリニューアルも、客層の幅を拡げる狙いがあったそうだが、イベントやフェアでも、東京堂ブランドを活かしながら、新しい顧客にアピールするものを投入している。売り場でも、入り口付近やエスカレーターの上がった先には、目を引くものを展開するなど、カフェやイベントの来客に東京堂書店の魅力に気付いてもらえるような展開を工夫している。

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 東京堂書店が、新しい顧客、新しいジャンルを開拓していくことで、より万人に受け入れられる本屋さんになっていくのか、それとも、新しい力を得てより先鋭的で濃密な購書空間(*)になっていくのか、楽しみにしています。

(*)購書空間:本を見て、買う場所、ひらたく言えば本屋さんのこと

【本の話WEB読者にオススメ】

小山貴之さん、『ルシファー・エフェクト』とともに。

 小山貴之さんのオススメ本は、フィリップ・ジンバルドーさんの『ルシファー・エフェクト ふつうの人が悪魔に変わるとき』(海と月社)。「スタンフォード監獄実験」という非人道的な心理学実験の実録。状況が人間をどう変えていくか、ブラック企業やテロという現代の問題とも共通するテーマを描いている。海と月社という出版社は、小さいけれどビジネス書のジャンルを中心に良書を出版していて、書店員の間でもファンが多いという。

【オマケ:ごく個人的なPaper Back Cafeの使い方】

カフェで戦利品、購入した本と撮影画像をチェック。

 何か用事があって神保町に来ると、まずは、東京堂書店のウインドウでランキングをチェックする。思いがけない本がベスト10に入っていたりするので、それが気になるタイトル、気になる装丁だと、チェックのため店内に吸い込まれる。1階レジ前の「軍艦」を1周か2周かして、最初にチェックせねばと思っていた本とは、全く別の本を手に取ったりしている。時間のあるときは2階3階にも上がってみる。エスカレーターもエレベーターもあるが、階段で上り下りして、壁面に貼られたイベントポスターを確認するのも重要だ。いつの間にかもう1~2冊、本が増えたりするので注意が必要だ。会計を済ませたら、カフェでコーヒーを頼み、すずらん通り沿いの席を選んで、戦利品をチェックする。帰ってからゆっくり読めばいいものを、なぜか集中して、1章目くらいまでは、ここで読んでしまったりする。その頃には、神保町に来た用事をすっかり忘れてしまっている。

東京堂書店 神田神保町店
住所 東京都千代田区神田神保町1-17
営業時間 10:00~21:00(日・祝は20:00まで)
URL http://www.tokyodo-web.co.jp/
Twitter https://twitter.com/books_tokyodo