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「こういう男、いるよ……」とゾッとなる

 よーくわかる。でも父ちゃんの、怒鳴ったり筋の通らないこと喚いたり、一転して甘えてみせたりする様が、一瞬異様にリアルなのだ。「こういうオッチャンいるいる~」と笑うんじゃなくて、「こういう男、いるよ……」とゾッとなる。北村一輝の迫真の演技だが、これは「朝ドラ(=いいお話)」を壊してるんじゃないのか。北村一輝は『欲望という名の電車』の舞台でスタンリー役(ヒロインをレイプして狂気に追いやる男)を演じている。さぞや名演だっただろう。

 いつもなら、父ちゃんが怒鳴ったり大暴れして喜美子が泣くようなことになった回の、すぐあとの『あさイチ』に北村一輝がゲストで出てきて華丸大吉相手に困った父ちゃん役を面白おかしくトークでもする、というのが朝ドラのお決まりだと思うが、そういうのも今のところない。

 父ちゃん、もしかしてドラマの中でものすごく陰惨なことでもしでかすのだろうか。娘を犯すとか。いや、そんなことはしないとわかっているのだが、あの「朝ドラの中でふと垣間見せるリアルな男の粗暴性」が、何かあるんじゃないかと思わせる。それが怖ろしい。

『スカーレット』
NHK総合 月~土 8:00~
https://www.nhk.or.jp/scarlet/