早見あかり

「大人はずっと信じられないと思っていたけど、佐久間さんを見て初めて『この人は信じられる大人だ』って思った」と前置きをした上で早見あかりが「だからシーズン5……ありますよね?」とプロデューサーの佐久間宣行に『ウレロ』シリーズ続編の“かつあげ”をしたのが2016年の秋だった。その時、佐久間は「あります、あります!」と半ば無理やり答えていたが、なかなか続編は実現しなかった。なにしろ早見以外のレギュラー出演者も、劇団ひとり、バカリズム、東京03という「超」のつく売れっ子芸人たち。だが、「佐久間さんはやるって言ったら本当にやる男」と早見が言う通り、遂に今年12月、全4回ながら『ウレロ☆未開拓少女』(テレビ東京)として第5弾の放送が始まった。客前一発本番のシチュエーションコメディというあまりにもリスクと難易度が高く日本のテレビ界ではほとんど行われなくなった形式。出演者が関東芸人屈指の現役コント師たちばかりだからこそできるのだろう。シリーズ立ち上げ当時はまだ16歳だった早見もこの番組で鍛えられ、女優として大活躍している。

 ゲスト陣も豪華。この形式だから確かな実力がなければ務まらない。第2話のゲストは岸井ゆきの。佐久間Pが手掛けた『SICKS』でもレギュラー出演して信頼を寄せているからか、無茶ぶりと言っても過言ではない大変な役回りだった。

プロデューサーの佐久間宣行氏 ©文藝春秋

 物語の舞台である弱小芸能事務所「@川島プロダクション」が主催する「クリスマスフェス」。チケットは1万枚が既に完売しているが、会場も出演者もほとんど決まっていない危機的状況だという。その窮地を脱しようと呼ばれたのが岸井扮するイベント制作会社の藤吉だった。藤吉は状況を見て「無理です」と即答。だが、事務員のあかり(早見あかり)が、マンガ家「早乙女ニャンコ」だと知ると態度が一変。彼女が描く「家のエアロバイクを裸足で漕ぐグウタラ旦那の水虫菌がイケメンに擬人化して戦う」というめちゃくちゃな設定のマンガ『はたらく水虫ペダル』を2・5次元舞台化してフェスに組み込めば収益が計算できると力説。ここから、本人も台本をもらったとき、「うそでしょ?」と思ったという2・5次元舞台への愛を綴った長台詞をもの凄い早口でまくしたてるのだ。まさに女優の超絶技巧。「ふじよし」をいつしか「ふじょし」と呼ぶようになるといった脚本の小技も冴える。一方で芸人たちはアドリブを駆使してドタバタ劇を加速していく。それに翻弄されながら、ほぼたった一人でツッコんでいくのがマネージャー役の飯塚悟志。めちゃくちゃ大変そうなのに、ひたすら楽しそうだ。それは飯塚に限らない。『ウレロ』は演者たちの“夢”が詰まっていて見ていて幸せな気分になる。

INFORMATION

『ウレロ☆未開拓少女』
テレビ東京系 月 24:12〜
https://www.tv-tokyo.co.jp/ufi5/