『日向坂で会いましょう』(テレビ東京)には、毎回のように驚かされる。この番組はタイトルが示しているとおり、「日向坂46」によるアイドルバラエティ。元々は、『ひらがな推し』と題して始まり、グループの改称に伴い番組名も現在のものとなった。
アイドル番組を作る際、バラエティ番組に不慣れなアイドルをサポートするために芸人がMCにつくことが多い。たとえば、乃木坂46による『乃木坂って、どこ?』、『乃木坂工事中』(ともにテレビ東京)のMCを歴任するバナナマンは彼女たちの“公式お兄ちゃん”と呼ばれているし、『アイドリング!!!』(フジテレビ)で教師のように厳しくバラエティの技術や精神を叩き込んだバカリズムと番組出身の朝日奈央らの絆は現在でも揺るぎない。アイドルたちは最初にテレビのいろはを教えてくれるその芸人を慕い恩義を忘れないし、芸人も彼女たちを妹、あるいは娘のように思い可愛がる——という図式だ。『日向坂で会いましょう』で彼女たちをサポートするのは、オードリー。正直、僕が番組を見始めたのもオードリー目当てだった。番組開始当初は、「春日俊彰がメンバーのプロフィールを暗記する」といった挑戦企画で、芸人を媒介にしてメンバーたちのキャラクターや魅力を覚えてもらうといった王道の流れ。そうした企画を経て、自然と彼女たちを知り、愛着を持つようになっていった。特に驚くのは、彼女たちのバラエティへの対応力だ。番組でオードリーは、彼女たちには時代的に絶対にわからないであろう『キン肉マン』などの喩えを繰り出す。当然、最初はポカンとしていた彼女たちだが、やがて勉強し、自分たちでも『キン肉マン』ボケをするようになり、自発的にどんどん前に出てボケていく。何より、それをやらされている感じではなく、ひたすら楽しそうにやっているのがいい。
今回の放送では、「日本のひなた」というキャッチフレーズを持つ宮崎県から熱烈なオファーを受け、宮崎キャンプを敢行。動物園を訪れた一行は、園内を巡りつつ動物に関する大喜利をするというゴリゴリのお笑い企画を行うのだ。「チンパンジーにあって、春日にないものは?」というお題では、佐々木久美がすかさず「知性」と答えたのを皮切りに「盛り上げ力」「愛想」「遊び心」「包容力」「集客力」「魅力」「スタッフさんへの配慮」などとメンバーが矢継ぎ早に回答。その瞬発力とチームワークは絶品だった。
この番組でオードリーは「教える」というような上の立場を取らない。彼女たちと同じ目線に立って一緒に楽しんでいる。もちろん大喜利にも参加する。だからこそ彼女たちも萎縮せず伸び伸びと自分を出すことができるのだろう。
INFORMATION
『日向坂で会いましょう』
テレビ東京系 日 25:05〜
https://www.tv-tokyo.co.jp/hinatazaka/