昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

女の友情を書きたい。「ドロドロして怖い」という価値観と戦っていきたい――柚木麻子(2)

話題の作家に瀧井朝世さんが90分間みっちりインタビュー 「作家と90分」

2015/06/14

genre : エンタメ, 読書

読者からの質問「モラハラへの対処法は?」

 

――では、読者からの質問をまとめて伺います。

●『ナイルパーチの女子会』で、芋けんぴを凶器にする発想に驚きました。実際に芋けんぴは凶器になるのでしょうか。どうしてそんなことを思いついたのですか(10代女性ほか多数)

柚木 スイーツをブログにアップしている女の子や、マカロンで「きゃー♪」と言っている女の子を馬鹿にしている男の人にイライラするんです。別にお前たちにアピールするためにスイーツで喜んでいるわけじゃないんだよ、って。それで、スイーツを笑う奴はスイーツでやっつけられればいいって思ったんです(笑)。

 所ジョージさんが学生の頃、教室かどこかで芋けんぴを食べていたら後ろから「ねえ」って叩かれて、目の傍に芋けんぴが刺さって救急車で運ばれる大けがをして、以来芋けんぴを見るとその惨事を思い出すそうです。と、「食わず嫌い王」でやっていました。それを思い出したのと、姑とよく川越に行って鰻を食べるんですが、いつもレジ横に芋けんぴがあって買って帰るので、芋けんぴを出すことにしました。

●人間関係において、モラハラやクレーマーのような人と出会ってしまった時、戦うほうがよいのでしょうか、逃げるほうがよいのでしょうか。作品のテーマとしてはどちらに興味がありますか?(40代女性)

柚木 私は『ナイルパーチの女子会』に書いたように、勝ちでもない負けでもない、第三の道をしたたかに探ります。ただ、逃げるが勝ち、はアリだと思います。絶対に従わないほうがいいと思います。相手の要求がエスカレートするだけですから。逃げるか、第三の道を探るか、ですね。

 第三の道としては、会社だったら法務部に言うとか、あるいはその人がモラハラをしていることがバレたら困る相手を使うとか。もしその人の親族で話が分かりそうな相手がいたら、コンタクトを取って「あなたのご家族からモラハラを受けています。これは脅迫ではないので、それとなく注意してもらえませんか」って言うとか。「あくまでもお願いです」という言い方をする。過去に同じ人からモラハラに遭ったことがある人にコンタクトを取って相談するのもいいのでは。

 私の幼馴染みがブラック企業で10年耐えてきたら、ついに役職についてしまったんです。自分が耐えてきたことを、部下にやらなくちゃいけなくなって、優しい彼は逃げて家に引きこもっちゃったんです。でもいろいろ考えて上司と交渉することにして、交渉に交渉を重ねて、向こうに妥協させたんですよ。そういうこともあると思う。会社を辞めた人たちと情報交換するのも方法だし、第三、第四の道は必ずあると思います。

●今後、男性視点の小説を書く予定はありますか?(30代女性ほか多数)

柚木 「俺の彼女、逃亡犯かも。」が男性主人公の話で、もう連載も終了しています。でもいつ本になるかはちょっと分かりません。今後は……どうでしょう、今はあまり興味がないです。

●柚木さんの物語には実にさまざまなタイプの女性が登場しますが、柚木さんご自身にいちばん似ているとお考えになる登場人物はどなたでしょうか。(20代女性)

柚木 うーん、うーん、何を言っても語弊がありそう。似ていると思うのがヤバい人ばかりなので、ちょっと言えないです。

●小説を書くにあたって、まず何から決められますか。(20代女性)

柚木 ラストシーンから逆算することが多いです。そのラストを変えてしまうこともあるのでなんとも言えませんが、とりあえずこういう終わり方なのかな、というふわっとイメージはありますね。でも、たいていはあまりプロットも決めないので、赴くまま、という感じです。

z