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田舎の親が倒れた!「介護で人生を諦めない」ために出来る12のこと

命運を握るのは医療ソーシャルワーカーとケアマネジャー。介護休業と遠隔地見守りサービス で介護離職はしない!

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 急性期病院は約30日程度で患者を回復期リハビリ病院へ転院、もしくは退院させることが多い。回復期リハビリ病院の入院期間は、脳梗塞などで150日以内。記憶や言語などの機能が低下した高次脳機能障害でも180日以内。大腿骨骨折なら90日以内。つまり、これが介護の段取りを整える猶予期間ということになる。

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 遠隔地の親の介護イコール施設に入れる、という認識は早計だ。親は、大抵はできる限り住み慣れた家で暮らしたいと考えるもの。すなわち在宅介護だ。家族のいない実家で、どうやればその希望に添えるのか。

「何も話し合っていない家族は、退院時期が迫ると慌てて有料老人ホームを探そうとしますが、慌てるとミスマッチが起こりがち。まずは冷静に、病院の医療ソーシャルワーカーに今後の医療と介護について相談しましょう」(同前)

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 ある程度大きな規模の病院は「医療相談室」や「地域医療連携室」と呼ばれる部署を設けており、そこに医療ソーシャルワーカーという専門の相談員が常駐している。親の入院生活の不安や費用面の問題、退院後のリハビリや利用できる介護サービスなどを相談できる心強い味方だ。

第2条「介護保険申請」は入院中から始める

 遠距離介護となれば、退院後に介護サービスを使うのは必然。入院中に介護保険の申請手続きを始めよう。退院したその日から、介護が必要な場合もある。

 東京都民生児童委員で、高齢者や介護に詳しいライターの浅井郁子氏が申請の流れを解説する。

介護が始まるまでの猶予期間は?

「介護保険の申請は、各市区町村の『地域包括支援センター』で行うことができます。地域によって名称が違うこともあるので、役所の総合案内に電話して担当部署を教えてもらいましょう。介護・看護のプロが無料で何度でも相談に乗ってくれます」

 申請は本人が行うのが原則だが、家族や民生委員など代理申請も可能。地域包括支援センターでは担当者がパンフレットを見せながら、制度の概要や「要介護・要支援認定申請書」など必要書類を渡してくれる。

 介護保険の手続きをする際、「介護保険被保険者証」があったほうが便利だ。65歳以上の高齢者に第1号被保険者として市区町村から送られてくるが、紛失している場合も多い。なくても申請は可能だが、保険者証に記載された被保険者番号がわかっていると手続きがスムーズに進む。紛失した場合は地域包括支援センターか役所の介護担当部署で再交付の手続きをしよう。また、申請書にはマイナンバーを記載する欄もあるので用意を。