文春オンライン

「ラーメンじゃつまんないよ」東青梅で老夫婦がつくり上げた“あり得ないほど微妙なタンメン”が最高だった!

B中華を探す旅――東青梅「はるよし&友子」

2019/12/23

genre : ライフ, グルメ

note

タンメンの秘密は「自家製レモン油」

 ただ正直なところ、タンメンと焼き肉定食は食べきれない。ご飯を残したことを謝ると、「いいよ、残したって。最初は食べられない人も多い」とはるよしさん。やさしいのである。

 タンメンのスープは、いろんなものを入れて煮込んでいる。

 

「ヤマイモ、トマト、セロリ、それからシイタケ……あと、なんだ? すごいことやってるんだよ。あと、ベニアズマの油が1杯。それとね、あと、貝ヒモの煮出したやつ。だから、金かかってるんだよ」
「お金も手間もかかりますよねえ」
「だって4種類ぐらい別々につくって、入れてるんだよ。スープだって大変なんだよ。スープはラードとか背脂を使ってないからね、一切。ヒレ肉だけで取るの。それとあと、野菜をいっぱい入れて。火の強さも強くちゃいけないの。弱くてもいけないの。それがわかるまで大変だったんだよ」

ADVERTISEMENT

 そして決め手は、自家製のレモン油だ。

「(瓶を出してきて)これ、これがレモン油。タンメンの秘密(笑)。こっちはシイタケ油で、これもね、タンメンの命。入れ過ぎるとおいしくないんだけど、もう、これでないとダメなの」

 

研究に研究を重ねた一品

 研究がお好きなようだ。しかも研究には締め切りがないので、とにかく時間がかかるらしい。

「すごい(時間が)かかってるよね。でも、『タンメンできた。よかったあ』と思ってからもね、なおすところがあって、そこからさらに8カ月かかった。この味が出なくて、どこが悪いんだろうと思って、4カ所ぐらい」

 油も、レモン油やシイタケ油だけではなく、研究しながらいろいろなものをつくっている。

 

「自分で加工してるの、これ。味の素のキャノーラ油に、いろいろ加工してるの。(次々と小瓶を出してきて)これはショウガ油。自分でつくったの。これはラーメンつくるときに使う。おいしいんだ。で、これがシイタケ油ですよ。こっちがショウガ油」
「まだ油はいっぱいあるよ。えーとね、すごいいろんなのつくったから、わからなくなるから。これはもやしラーメンに使う、キノコ5種類。エノキダケ、マイタケ、シメジ、エリンギ、あとなんだっけ、もう1個は……エノキダケ、シメジ、シイタケ、エリンギ、もう1個なんだっけ。その5種類、なんだっけな? 忘れちゃった(笑)。ちょっと待って。書き出せばわかるかな。エノキダケ、シイタケ、エリンギ……あ、マイタケだ。それを煮出すの。油のなかに入れて、30分ぐらいとろ火で、このエキスを取るの。そうして、それを使うとおいしい」

 聞いていたら、だんだん混乱してきた。