文春オンライン

「ラーメンじゃつまんないよ」東青梅で老夫婦がつくり上げた“あり得ないほど微妙なタンメン”が最高だった!

B中華を探す旅――東青梅「はるよし&友子」

2019/12/23

genre : ライフ, グルメ

note

「金がかかっちゃって、儲けが出ない。赤字(笑)」

「全部、自分で考えた。すごいんだから」
「すごいなあ」
「だから、わからなくなっちゃうじゃん。だから、シャラップ! なの。『ダメ、しゃべんないでくれる?』って。あともうひとつ、すごい隠し味がある。すごい勉強してるんだもん。いいよ、この際だから教えるよ。これはアーモンド油」
「アーモンド油はなんに使うんですか?」
「もやしラーメンにね、これに半分入れるとおいしいんだ。入れ過ぎるとおいしくない。このスプーンでね、半分。1杯入れると、くどくなっちゃっておいしくない。そういうのを研究した。すごいでしょ」
「すごいです」
「ハハハ。全部自分で研究した。でもね、おいしくするためにずっとやっていったら、どんどん金がかかっちゃって、儲けが出ない。赤字(笑)。ほんとなんだよ、それも。あまりにもいろいろつくりすぎて、金かかってるから(笑)」

 話はいつまでも終わりそうにないが、気になっていたことを聞かなければならない。店名についてだ。

 

なんだかとても居心地のいい“噛み合わなさ”

「俺がはるよし(春義)で、家内が友子(ともこ)。15違いだから。15違うよ。親子じゃないよ、夫婦だよ(笑)」
「マスターはおいくつですか?」
「73」
「じゃあ、奥さんは……」
「88になってるの」
「どこで知り合ったんですか?」
「いいよ、そんなの(笑)。面倒くせえ。話せば長くなっちゃって(笑)」
「じゃあ、出身は檜原村なんですか?」
「こっち(友子さん)がね。独学でこれ、覚えたんだよ」
「檜原村でお店を出したのは何歳ぐらいのときですか?」
「30代じゃない?」

ADVERTISEMENT

 と、ここで友子さんがまた登場。

「ラーメン代より電車賃のほうが高くつくわね」

 

 やっぱり話が噛み合わないが、それもこの店の魅力だと確信する。なんだかとても居心地がいい。しかも、はるよしさんの自画自賛トークが最高におもしろい。それに、ちゃんとおいしいから、いちいち納得させられるのだ。

「この前、渋谷に行ったんだけど、ラーメン食べたら、まずかったあ。油だらけで、ドロドロしてて、もうまずいなんてもんじゃなかった。あんなの食べたら病気になっちゃうって。脳梗塞になっちゃうよ、あんなの。だからね、『すいませんね。今日はちょっとお腹いっぱいで、もう食べられないんだ』ってうまくごまかして、麺だけすっと食べて、スープは全然飲まないで帰ってきたよ(笑)」
「たしかに最近は、スープを全部飲んだら死んじゃいそうなラーメンが多いですよね」
「死ぬ、死ぬ。あんなの飲んだら死ぬよ(笑)。ほんとだよ。死ぬよ、あんなの飲んじゃったら。脂だらけだもん」