闇営業に税金の申告漏れ……日本最強のお笑い系芸能事務所・吉本興業が揺れた1年だった。
結成から45年目、令和元年春の紫綬褒章を受章したオール阪神・巨人。伝統のしゃべくり漫才で上方のお笑い界を牽引してきた巨人さんに「吉本を変えるために必要なこと」そして「NSCの功罪」について聞きました。(全3回の1回目/#2、#3へ)
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いちばんでかかったのは「吉本興業の問題」
――今年は、師匠にとっても、本当にいろいろなことがあった1年でした。
巨人 いちばん大きかったのは紫綬褒章を受章したことですね。3月に相方の阪神君が軽い脳梗塞で倒れ、4月に復帰し、5月に受章の知らせをちょうだいしまして。いろいろ大変やったときなので、とてもありがたかった。あ、阪神君が倒れる前に、人生初の金髪にしたなんてこともありましたね。番組の企画やったんです。最初はすぐに黒に戻すつもりやったんですけど、皆が似合うって言うし、薄毛を隠すのにちょうどいいので、今も金髪のままです。手入れが楽なんで、やめられなくなってしまいました。
――紫綬褒章、阪神師匠の病、金髪が、今年の3大ニュースですか。
巨人 いや、いちばんでかかったのは、僕がしでかしたわけではありませんが、やっぱり吉本興業のいろいろな問題でしょう。宮迫(博之)君や(田村)亮君の闇営業に始まって、徳井(義実)君の税金の申告漏れもあったでしょ。
師匠のお孫さんを殴った島田紳助
――今年、芸人のモラルの低下が指摘されたことで、師弟制度を復活すべきではといった声も上がっていましたが、そのあたりはどう思われますか。
巨人 それは、もう、出来れば絶対いいと思いますよ。今、僕のところに弟子にしてくれと来たら、取らんこともない。弟子入りするには、最初に3つのハードルがあるんです。まず弟子に行く勇気が要るし、誰を師匠にするか決めなければならない。次に、その師匠にお願いをしてOKをもらわなければならない。3つ目は弟子時代の修行に耐えなければならない。そこから、さらにデビューして売れないといけない。
デビューまでの3つをクリアしただけでも、人間としてかなり成長しますから。もちろん、修行時代は、先輩のスーツをハンガーにかけたり、おしぼり出したりと、何の役に立つんやろうということも多いですけどね。そういう中で、自然と目上の方に対する接し方を覚えていく。同じ実力やったら、行儀ええ方が、絶対売れますから。気持ちのええ子を使いたくなりますもん。それが人情というものです。まあ、突き抜けてしまえば人間性なんて関係ないかもしれないですけどね。昔だったら、紳ちゃん(島田紳助)とかね。あ、紳ちゃんが人間性が悪いと言ってるんやないですよ。
――そうは言っても、島田紳助さんも、かつては厳しい弟子時代を過ごしているわけですよね。
巨人 そうです。でもね、師匠の島田洋之介・今喜多代師匠に「あんた、うちの孫とかに、師匠の孫やからと優しくしようとせんでもええよ」と言われて、3日もせんうちにお孫さんを殴って「何してるの、紳助!」って怒られたって言っとったな。「師匠が特別扱いせんでええ言うたから、腹立って殴りました」と。弟子は弟子でも相当、型破りな弟子で、やんちゃでしたから。