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『THE MANZAI』とは対極の世界

――今、師匠にいちばんフィットするのはNGK(なんばグランド花月)の舞台ですか。

巨人 今は、劇場とか田舎の公民館とかがいちばん楽しいな。なんぼでもしゃべってられる。離島で漫才させてくれ、言うてるくらいですから。実演の漫才を観たこともないおじちゃん、おばちゃん島民を200人くらい集めてね。昔、『なぜか離島で漫才旅』という番組を3回だけやったことがあるんですよ。おもろかったなー。島内放送で、阪神君が「ピンポンパンポーン」チャイムをたたいてから、「皆さん、こんにちは。オール阪神・巨人の阪神です。聞こえてますか。明日6時から、〇〇会館で漫才やりますから集まって下さい。こいよー!」いうたら、島民の8割から9割きてくれる。でも時間やらコストがかかるんで、その番組は終わってしまったんですけど。

 

――離島で漫才。それが芸能生活45周年を迎え、辿りついた究極の漫才の舞台なわけですね。『THE MANZAI』とは対極ですが、そこに漫才の原風景、漫才とは何かの答えがあるような気もします。

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巨人 でも、吉本はやってくれんからな。儲けなあかんからね。なので、もう個人で行かなしゃあないね。個人で行くとなると、僕が阪神君にお願いして、僕が阪神君にギャラ払わんといかんのか(笑)。でも、それでもええから、行きたいな。

【前回】オール巨人が明かす“M-1審査員の苦悩”「来年はM-1を休むつもりです」

プロフィール

オール巨人/1951年生まれ。大阪府出身。1975年4月に「オール阪神・巨人」結成。コンビで令和元年春の紫綬褒章を受章。伝統のしゃべくり漫才で上方のお笑い界を牽引。M-1の審査員は2007年(第7回大会)以降、今年で7度目となる。阪神タイガースファン、身長184cm

写真=釜谷洋史/文藝春秋