「どうも。イトシンTV。伊藤真吾です。イェイイェイ」

 このフレーズから始まるYouTube番組『イトシンTV』が人気だ。出演は「イトシン」こと伊藤真吾五段。2019年3月に開局して、現在、2万5千のチャンネル登録者を数える。(全2回の1回目/#2へ)

『イトシンTV』の収録セットに陣取る伊藤真吾五段

ご自宅のスタジオを訪問すると……

 プロ棋士が出演する将棋番組といえば、重厚で落ち着いた雰囲気のものが多いなか、お決まりのフレーズ「イェイイェイ」に象徴されるように『イトシンTV』は、なんとも自由だ。その番組作りの秘密を知りたく、今回は、普段撮影を行なっているという、伊藤さんのご自宅に伺ってインタビューを行なった。

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「ここでやってるんですよ」と笑う伊藤五段が案内してくれたのは、四畳半ほどの洋室。そこはテーブルと将棋解説用の大盤、そしてカメラや音響設備だけがある小さなお手製のスタジオだ。「こんにちは」と同席してくださったのが、「嫁P(「嫁プロデューサー」の略)」こと、撮影や編集を行なっているという奥様。

「スタジオ」の棚には機材が積まれている

 たった2人、この小さなスタジオで、どのように番組は作られてきたのか。まずは開設のきっかけからお聞きしていこう。

妻が「撮影や編集はやるよ」と言ってくれて

――『イトシンTV』が始まった経緯から教えてください。

伊藤 もともとは、ユーチューバーへの興味だけだったんです。娘が毎日見ていて「ユーチューバーになりたい。なりたい」って言うものですから、僕も横目で見るうちに「こういう感じなのか」と漠然と知り、興味を持つようになりました。ただ自分がやるとはまったく思っていなかったんですよ。

――では、なぜやることに?

伊藤 今年の3月頃、友達と家飲みをしていたとき「イトシンやってみればいいじゃん」って勧められたんですよね。でも僕、恥ずかしがり屋で、引っ込み思案な性格だし、人前に出てグイグイいくのは無理だと。でも妻が「撮影や編集はやるよ」と言ってくれて、友達も「嫌ならやめればいいんだし気軽に始めてみたら」と後押ししてくれて……。じゃあ、やってみようかなと始めました。

手前の嫁Pさんが、出演以外のすべてを手がけるカメラマン兼プロデューサー

――嫁Pさんは、カメラやパソコンを使うのには慣れていたんですか?

嫁P 以前、漫画のアシスタントをやっていたので、パソコン操作などは、わりとできたんです。

伊藤 僕は、パソコン関係のことは全然ダメなんですよ。だから妻と力を合わせればできるかなと。