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 否定的な意見も多かったという「イェイイェイ」だが、今ではすっかり浸透して、ファンに「イェイイェイやってください」と言われたり、色紙に「イェイイェイ」と書くよう頼まれることもあるという。番組名といい、キャッチフレーズといい、なかなか今のYouTubeカルチャーを巧みに取り込んでいるのだ。

――番組で何をやるのかというのは、どのように決めていったんですか?

伊藤 当初は娘が見ている『まいぜんシスターズ』や『ヒカキンTV』のように、僕が好きなもの――たとえばマリオや人狼やカラオケなどを実況する多方面エンターテイメントも考えたのですが、やはりどう考えても将棋しかニーズがないですからね(笑)。最初の放送では単に色紙を書いているところを映像で流したんですが、やがて自然と『将棋ウォーズ』の実況が柱になっていきました。

現局面から3手くらい先を説明するように

『将棋ウォーズ』は同じような棋力の人と気軽に対戦できる大人気アプリ。伊藤さんが誰かと対戦しながらその模様を実況する番組だが、心がけているのは、プロが何を考えているのかを伝えることだという。

伊藤 いろんな局面で、こういうときプロは何を考えているのかを伝えたいと思っています。読み筋でいえば、わかりやすいように、現局面から3手くらい先を説明するよう意識しています。あとは「玉は飛車と反対側に囲ったほうがいいですよ」といった基本的な考え方や、「駒得していますよね」といった形勢判断のバロメーターですね。居飛車、中飛車、四間飛車など、作戦も意識していろいろやっています。「嬉野流」などのマイナー戦法をやって欲しいという声もあるので、普段の対局ではあまりしないようなことにも挑戦するようにしています。

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――負けることもあるかと思いますが、そこに抵抗はありませんでした?

伊藤 たしかに負けることもあるんですよ。ただ勝ち負けよりも、プロが何を考えて将棋を指しているかを伝えられればいいかなと。でも見ている人は、やはり僕に勝って欲しいみたいで「負けないで!」という声はありますね。

対局が50に到達したときは感慨深かった

――『イトシンTV』のメインコンテンツともいえる『将棋ウォーズ』の実況は、現在130回を超えています。そのなかでも、印象に残っている回はありますか。

伊藤 50局目ですかね。なんとなく始めたので、ひとつの節目である50に到達したので感慨深かったです。あと、初めてロケとして妻の実家がある新潟で将棋ウォーズをやった回。こういった「旅指し」は、各地域の宣伝にもなりますし、海外も含めていろんなところでやってみたいですね。

『イトシンTV』の「将棋ウォーズ実況第50回」

 

新潟新潟ロケを行った『イトシンTV』の「将棋ウォーズ実況第63回」