娘がユーチューバーになりたがっていた
――嫁Pさんは、伊藤さんがYouTubeをやるといったとき、どんな気持ちでした?
嫁P 実はあの家飲みの前からYouTubeやってみたらいいんじゃないかなと思っていたんです。
伊藤 えっ!?
嫁P その前にも「YouTubeやっている将棋の棋士はいないの?」と聞いたら「もういるんだよ」と言われて……。
伊藤 やりたかったんすか?
嫁P やりたかったというか、今、なにかやれることは……と考えたとき、YouTubeはいいかなと思っていました。
伊藤 ああ……。『イトシンTV』を始めたきっかけには、娘がユーチューバーになりたがっていたというのもありますが、自分がここ3年くらい何にもしていないという想いもあったんです。子供が生まれたので土日の時間を作りたくて、それまでやっていたレディスセミナーや子供教室をやめてしまった。それで普及の仕事を3年ほどしてなくて、なんかないかな……とは思っていたんです。
――では、何か機会がくるのを待っていた?
伊藤 そうかもしれませんね。
嫁P だからYouTubeを「やる」といったときから「よしよし頑張ろう」と思っていました。
伊藤 そういう感じだったんすね。あったまってたんすね。
嫁P まあ、本人のやる気だけは、私にはどうしようもないですから……。
――『イトシンTV』を二人三脚でやるのは、どういった感じですか?
嫁P 棋士の仕事には、協力できることがあまりなかったんです。YouTubeなら協力できますからね。
「イェイイェイ!」は「否」が多い賛否両論
そういって嫁Pさんが微笑んだのが印象的だった。
こうして始まった『イトシンTV』だが、番組名などの基本的なことはどうやって決めたのだろうか。
伊藤 例の家飲みのとき『イトシンTV』という番組の名前だけは決めていました。ヒカキンさんは『ヒカキンTV』なので、「イトシン」というあだ名の僕がやるなら『イトシンTV』だなと。
――あの「イェイイェイ」も、最初からやろうと決めていたんですか?
伊藤 『ヒカキンTV』も「ブンブンハローYouTube どうもヒカキンです」で始まるんですよ。そういうお決まりのフレーズがあるといいかなと「イェイイェイ」を始めてみたんですが、最初はすごい賛否両論あったんですよ。
――ははは(笑)。
伊藤 どっちかというと「否」が多い賛否両論が(笑)。「なんだあのイェイイェイは」とか「あれだけはやめてくれ」といった否定的な意見が多かった。でも、ある女流棋士の方が「あのイェイイェイがいい」と言ってくれたり、数少ない賛成意見に押される形で続けているうちに、みんな慣れてきたというか麻痺してきた感じですね。