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田町~品川間の広大な鉄道車両基地が「もったいない」

 そもそも、高輪ゲートウェイ駅がなぜ作られたかといえば、田町~品川間の広大な鉄道車両基地が「もったいない」からだった。東海道本線の始発駅、東京駅のそばに車両基地があれば都合がいい。しかし、都心の一等地を電車置き場にしていいのか。国鉄が分割民営化され、汐留貨物駅が移転して跡地の再開発が決まった。田町の車両基地も同様に、電車の車庫を移動すれば広大な開発用地が生まれる。駅も作られるに違いない。

 こうして、東海道線の上下線の間にあった車庫を縮小し、東海道線上り線路を移転。高輪ゲートエーウェイ駅の敷地を確保し、建設工事の進捗に合わせて京浜東北線の南行き線路を切り替えた。次に、11月16日から17日にかけて、山手線と京浜東北線の北行き線路を高輪ゲートエーウェイ駅経由に切り替えた。いままで使っていた古い線路を撤去すると、広大な敷地が生まれた。ここに新しい街「グローバルゲートウェイ品川」ができる。

 

「グローバルゲートウェイ品川」は、田町側駅側から品川駅側まで6つの区域が設定されて、第1期開発は田町駅寄りの第1街区から、高輪ゲートウェイ駅前の第4街区まで。第1街区は45階建ての高層マンション1棟、第2街区は地上6階にとどめて文化創造施設、第3街区は31階建てのオフィスビル1棟、第4街区は都市の中心として、オフィス、ショップ、ホテル、コンベンションホールなどを含む30階建ての複合ビルが2棟。4区域合わせて、自動車駐車場4580台、自動二輪駐車場230台、自転車駐輪場6290台の規模だ。しかし、いまはまだ線路が撤去されたばかりの更地だ。そのおかげで国道側から高輪ゲートウェイ駅が見渡せる。

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「グローバルゲートウェイ品川」の対象区域に隣接する場所も再開発の対象となる。その「周辺再開発区域」の象徴的な建物が旧京急本社ビルだ。京急電鉄は品川再開発を機に、グループ会社含む11社が横浜のみなとみらい21中央地区に順次移転した。

 

変化が少ない理由は泉岳寺エリアだから

 この旧京急本社ビルの北側、泉岳寺駅に隣接するビル群一帯は泉岳寺駅前地区再開発用地に指定されている。この中には厨房機器で有名なホシザキ高輪ビルがあり、電車がよく見える会社として、テレビ番組「タモリ倶楽部」でも紹介されていた。このビルは平成10年に竣工し、まだ20年ほどしか経っていないけれど、ホシザキの本社機能は2019年5月に大崎ガーデンタワーへ移転済みだ。

 国道の東側は古いビルが残り、あるいは取り壊し工事が進んでいる。対照的に、国道の西側はほとんど変化がない。それも道理で、もともと泉岳寺駅の周辺エリアとして開発が落ち着いた地域である。JRの駅ができれば便利だけど、もともと泉岳寺駅前として便利だったところで、いまさら盛り上がろうという機運はなさそう。国道沿いの商店も少ない。目立つ建物と言えば、2015年に開業したアパホテル品川泉岳寺駅前がある。高輪ゲートウェイ駅開業を見越した出店だろう。

 ちなみに、国道から工事現場越しの高輪ゲートウェイ駅の夜景がいい。駅舎の向こうにレインボーブリッジがあり、並んで見える。令和を象徴するような景色だと思うけれども、開発が完了したら、この景色を見る場所が残っているだろうか。

遠くにはお台場に向かうレインボーブリッジも見える