高輪ゲートウェイ駅の開業日が決まった。2020年3月14日。JR各社のダイヤ改正日に合わせた形だ。本格開業は周辺の開発に合わせて2024年度の予定だけれど、東京オリンピック・パラリンピックの開催前に暫定開業という目標は達成する。

 1980年代後半の噂から品川新駅設置の正式発表、駅名公募の騒動などもあった。いずれにしてもずいぶん先の話だと思っていたら、もう暫定開業まであと3カ月を切っている。

写真を撮る人をよく見かけるという

 12月某日の夕方、建設中の高輪ゲートウェイ駅周辺を歩いた。国道から工事現場のフェンス越しに駅舎が見える。白い屋根、ガラス張りの奥でいくつもの照明が灯っていた。内装工事も大詰めだろう。

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工事中の高輪ゲートウェイ駅

 この国道は旧東海道で、行き交うクルマたちは先を急いで走り去る。しかし歩道はこの付近に住む人、働く人が歩く。彼らにとっては我が町に駅ができるわけだ。駅舎の形が見えてくると期待も大きくなるだろう。工事現場の警備員さんに話しかけたら、その場所から写真を撮る人をよく見かけるという。

 新駅開業の3カ月前だ。周辺は盛り上がっているに違いない、とネタを探しに来てみたけれど、意外にも静かで開業ムードはなかった。品川駅の高輪口から田町方面へ歩いてみると、今までと変わらぬ風景が続く。駅前のパチンコ屋があり、雑居ビル群が続く。線路側は京急第○ビルという建物が多い。まずは京急第10ビル。まだ動きはないけれど、将来は取り壊されて、ここに京急品川駅が作られる。

解体作業が始まった京急電鉄本社ビル

北品川駅から品川駅までの高架事業が行われる

 京急品川駅は、現在の高架駅から地上駅に建て替えられる。品川駅西口駅前広場を整備する計画があり、JRの階上駅コンコースを駅前広場まで延伸し、ペデストリアンデッキを作るためだ。京急電鉄は同時に北品川駅から品川駅までの高架事業を進め、交通量が多く、開かずの踏切となっている八ツ山橋踏切などを立体交差にする。北品川駅を高架化して、品川駅を地上に降ろす。そのために長い勾配が必要となり、品川駅は北へ移動する。

 さらに北へ歩いて行く。線路側の変化は、品川バスターミナルを通り過ぎたあたりから。ビルが取り壊されて工事現場になった敷地が目立ってくる。

品川駅前のビル群も間近に見える

 品川バスターミナルは、京急バスの高速路線バス用として1989年に開設された。主に京急バスと共同運行するバスが発着している。かつては東京・新宿・池袋に次ぐバスの拠点だったけれど、東京駅グランルーフや鍛冶橋駐車場、バスタ新宿などの整備によって長距離バスの廃止、転出が続いている。

 品川駅から徒歩だと約500メートル。他の停留所よりちょっと不便という印象だ。今後についての発表はないけれど、京急品川駅リニューアルで駅近くに移転するか、高輪ゲートウェイ駅に隣接したバスターミナルが作られるか。

 JR東日本が2018年9月に発表した「品川開発プロジェクト(第1期)に係る都市計画について」によると、高輪ゲートウェイ駅の正面に交通広場が作られる。ただし地域路線バスとタクシー乗場のみ。長距離バス利用者に向けた設備はなさそうだ。