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自分らしい作品で、より精度の高いものを目指していきたいと思います――島本理生(2)

話題の作家に瀧井朝世さんが90分間みっちりインタビュー 「作家と90分」

2015/10/25

genre : エンタメ, 読書

note

読者からの質問「『匿名者のためのスピカ』の登場人物は今後、他の作品に出てくる予定はありますか?」

 

●今ご結婚されていますが、島本さんがお考えになる、結婚はこういう相手とするのがよいというのはありますか。(20代女性)

島本 毎日一緒に生活すると考えると、嫌いなものが一致している人のほうが楽です。好きなものや趣味が合うのもいいんですけれど、嫌いなものが家の中にいっぱいあったら続かないので(笑)。

●作家に憧れて自分も小説を書いていますが、いつも短い枚数で終わってしまい、新人賞に応募できる規定の枚数まで届きません。伝えたいことを書くのに必要なシーンがあまり思い浮かばず、そのために簡潔に終わってしまう気がします。どうすれば100枚程度の枚数を書けるようになるでしょうか。(20代男性)

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島本 短篇のうまい作家の方は確かにいらっしゃいますよね。もし短いものなら何本も書けるというのであれば、ショートショート作家を目指してみては。あるいは、規定の枚数に届かないものでも、ネット上で公開して反応を見るというのも方法かもしれません。

●島本さんが本を書くことによって見たいもの、得たいものは何ですか。(30代女性)

島本 救いと許しでしょうか。

●もう純文学を書かないのは本当ですか。残念です。(30代男性)

島本 ジャンルが違っても作者は同じなので、たぶん似たような要素も小説のなかにきっと出てくると思うので読んでいただければ……(笑)。

●島本さんのエッセイを読むと、島本さんが学生の頃は積極的に恋愛されていたと見受けられます。でも、作品に出てくる女性は、内気というか胸に秘めたる何かがある女性が多い気がします。今後、恋愛に積極的な女性を主人公にした作品を書かれることはありますか。(20代女性)

島本 同世代の主人公を書くことが増えてくるので、これから書く主人公は受け身ではないと思います。30代女性がそんなに受け身ということはないはず(笑)。なので今後は、わりと主人公も強くなっていくのかな、と。

●島本作品の主人公はきちんと生活していて大人びた性格の女性が多いですが、どことなく自信がないのはなぜでしょう。それも魅力かとは思いますが。(20代女性)

島本 家庭環境が複雑だったりして、その分自己評価が低いんです。主人公の過去なり家庭なりの話を書きたいという気持ちがあったんですよね。なので今までは健康的で真っ直ぐな主人公の物語というのが、あまり浮かばなかったんです。でもだいたい一段落ついたので、これからはまた変わっていくと思います。

●『匿名者のためのスピカ』の主人公の男の子とその友人がいいキャラで好きです。今後、他の作品に出てくる予定はありますか。(20代女性)

島本 本当はシリーズ化したいんですけれど、様子次第です(笑)。

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