昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

冬でも読みたい「怖い話」

「ターボババア」に「ジェットババア」 怪談界で“高速移動するお婆さん”が大増殖中のワケ

2020/01/04

 お婆さんは走らない。

 いや、師走の時期には走るお婆さんはいるかもしれないが、少なくとも自動車より速く走ったりはしない。

 だが、高速移動するお婆さんの噂が、実は90年代頃から怪談界で爆増している。現代の怪談において、走る老婆は人気者なのだ。

真夜中の高速道路に出現する「ジェットババア」

 例えば、「ジェットババア」という老婆がいる。その名前の通りジェットエンジンを搭載したかのようなスピードで走る老婆の怪異で、真夜中の高速道路などに出現し、走る自動車を己の肉体の走りのみで追い抜かしていく。

 ただそれだけであれば高速移動できるお婆さん、で終わるかもしれないが、厄介な特徴を持っている。それが、この老婆に追い抜かされた自動車は必ず事故を起こし、時には死亡するなどと語られる点だ。

 その出現条件もあってないようなもので、老婆が現れるとされている場所を自動車で走っていると、突然後ろから走ってきて追い抜いて行く、というような噂が多いから、迷惑極まりない。

真夜中の高速道路などに出現する「ジェットババア」 ©iStock.com

 かつてブームを巻き起こした「人面犬」もまた、高速道路に出現して自動車やバイクを追い抜かし、事故に遭わせるという噂が語られたことがあった。しかし老婆の怪異の場合注目したいのは、その種類が異様に多い点だ。

ジェットエンジン以上の性能を持った老婆も

 先ほど紹介したのは「ジェットババア」だが、ジェットエンジン以上の性能を持ったターボエンジンを搭載したかのようなスピードで走る老婆もいる。その名も「ターボババア」で、兵庫県の六甲山などでよく目撃されるという。この老婆は四つん這いで高速移動するとされる場合もあり、その際には背中に「ターボ」と書かれた紙が貼られているという。自己アピールなのかどうかは不明だ。

 他にも分かりやすい名前の老婆としては「100キロババア」というものがいる。これはその名の通り時速100キロのスピードで走る老婆で、やはり車を追い抜かしていく。この老婆はなぜか北海道の湖周りに現れることが多く、洞爺湖や支笏湖の近くの道路で目撃されている。特に摩周湖周辺に現れる100キロババアの場合、マリモを投げつけると撃退できるというユニークな対処法が伝わっている。