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 また似た名前の老婆に「1000キロババア」というものがいる。こちらは高速道路をものすごい速さで走っていくという情報しかないが、名前からして時速1000キロで走るのだろう。

 そのままの名前の「走るバァさん」という老婆もいる。北海道のあるトンネルに現れるこの老婆は、バイクが走っていると現れて真っ赤な歯を見せて笑いかける。時速100キロで走っていても容易に追いつくすさまじい脚力を誇るが、トンネルから出ると消えてしまうといわれている。

北海道のあるトンネルに現れる「走るバァさん」 ©iStock.com

ホッピングやリヤカーなど、道具を使う高速老婆

 走るのではなく高速で飛び跳ねる老婆もいる。その名も「ジャンピングババア」は下駄を履いた足で一度に4メートルの跳躍を見せ、走る自動車を追いかける。これに追いかけられた車は、やはり事故に遭ってしまうのだという。己の肉体でなく、ホッピングという玩具を使って跳び回る老婆もおり、こちらは山道を走る自動車を飛び越えていくと伝えられている。その名もずばり「ホッピングばあちゃん」だ。

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「ホッピングばあちゃん」が使うとされる道具「ホッピング」 ©iStock.com

 道具を使う高速老婆は他にも存在している。「バスケばあちゃん」はバスケットボールをドリブルしながら高速で走ってくる老婆で、高速道路を走るバイクを狙う。そして走行中のバイクに向かってバスケットボールをパスするという悪質な行為を行う。ボールを投げられたライダーは、ボールを受け取ればハンドルから手を放してしまい、無視すればボールを体に当てられて、どちらにせよ転倒してしまう。コンセプトは面白いがやることは恐ろしい怪異だ。

「リヤカーのおばあさん」はリヤカーを引きながら北海道のあるトンネルに現れ、自動車と並走する老婆だ。自らリヤカーというハンデを背負いながら自動車に追い付くそのチャレンジ精神には敬意を表したい。ちなみにこのトンネルには、白い車を三輪車で追いかけてくる子どもの霊が出るという話もある。

ミカンを投げつけて来る「ミカンばばあ」

 三輪車といえば、宮崎県の海岸沿いでは三輪車をこぐ音が聞こえることがあるが、まれにものすごいスピードで三輪車をこぐ「三輪車のお婆さん」が出現することもあると言われている。

「ミカンばばあ」という変わり種もいる。これはある森の中でゴザを敷いて座っている老婆で、側に何本か鎌を用意している。この老婆と目が合うと突然とんでもない速さで追いかけてきて、その際にミカンを投げつけて来るのが名前の由来となっている。

「ミカンばばあ」という変わり種も ©iStock.com

「テケテケ」など、上半身だけの状態で肘や腕を使って高速移動する怪異も各地に伝わっているが、当然のようにそれらの中には老婆の姿をしたものもいる。

「ひじかけババァ」はその一種で、大阪府の難波だとこれは自動車を追いかける。そして追い付かれてしまうと死亡するという。またひき逃げされた老婆が自分を轢いた自動車を肘で這って追いかける「ひじババア」の怪談もある。