めちゃくちゃにクールでチャーミングな日本人フェミニストを見つけてしまった。

 彼女はフェミニストを名乗っているわけではないので、もしかしたらフェミニストなんて呼ぶなと怒られてしまうかもしれないし、喜んでくれるかもしれないし、特に感想はないかもしれない。けれど、私から見た彼女はこれ以上ないくらいのフェミニストだ。

 その人の名は「今日和(こんひより)」さん。立命館大学4年生で、女子相撲選手。

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第6回全国学生女子相撲選手権の個人戦・重量級で優勝し、スタッフと抱き合って喜ぶ立命大の今日和 ©時事通信社

 人々に影響を与えた世界各国の女性として、イギリスのBBCが選ぶ「100人の女性」。2019年、日本では二人の女性が選ばれたことをご存知だろうか? 一人は実はこの記事を書いている私、石川優実。2019年に、職場における女性へのヒール靴着用強制に反対する#KuTooという運動を始めた。そしてもう一人がこの今日和さんだ。

 私が選ばれたことによってこの「100人の女性」をバカにする人もいるかもしれないが、過去にはテニス選手だった伊達公子さん、がんと闘った小林麻央さんが、2019年はスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんや、アメリカ女子サッカー選手のミーガン・ラピノーさんも選出されたすんごい賞なのだ。(アメリカ女子サッカーチームが優勝した時のラピノーさんのスピーチが最高にかっこいいのでぜひ見てほしい!)

「女子相撲界もそろそろ動き出すころかなって思ってます」

 そんな「100人の女性」に選ばれた今日和さんのドキュメンタリー映画がNetflixにて配信中だ。タイトルは『相撲人』。『相撲女子』とか『女子相撲選手』なんていうタイトルじゃない、「人」。相撲をする「人」。

 今さんは、2014年と2015年に世界女子ジュニア相撲選手権大会の重量級で優勝、2018年と2019年に世界相撲女子選手権大会の無差別級で準優勝を果たした女子相撲界のスターだ。このドキュメンタリーには、女性差別と闘う彼女の様々な「名言」がちりばめられている。中でも私が一番グッと来たのは、「女子相撲界もそろそろ動き出すころかなって思ってます」という言葉。


 かっこいい。これからきっとめっちゃクールで、だけど情熱的な差別との闘いが始まるんじゃないかと勝手に期待してしまう。いつまでも女がみんな「一歩下がって男を支える」、なんてポジションにだけいると思うなよ、と。

 男性と女性、同じ「相撲のプロになりたい」という夢を持った時に、片方の性別は叶うことがない。全国中学生選手権・高校総体・大学生競技会・国体に女子の枠もない。これを性差別と言わずなんと呼ぶのだろうか。

 いまだに女性が土俵に上がることを良しとしない相撲界。「伝統」を理由とすれば女性差別をしても仕方がないという考え方なのだろうか。