2018年は霜降り明星、2019年はミルクボーイ。M-1では決勝初進出のコンビが2年連続で王者になった。その一方で、和牛、かまいたちと“ベテラン組”が優勝を逃している。「新しいことをやらないと勝てない」というM-1の空気を感じるが、「王道漫才」で王者に上り詰めた銀シャリはどう感じているのか。ぺこぱ、かまいたち、和牛への評価とともに聞いた。(全3回の2回目/#1#3へ)

銀シャリの鰻和弘さん(左)と橋本直さん

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なぜ「正統派」の漫才師が少なくなっているのか?

――銀シャリはM‐1決勝において、2010年は5位、2015年は3位、2016年は優勝と、出場するたびに着実にステップアップしていきました。2人の漫才は、世間では「王道漫才」と呼ばれています。だから、経験値がそのまま加算されて、出れば出るほど成績が上がって行ったわけですよね。

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橋本 僕らはキャラクターを作ったり、カチッとした型があるわけではないですからね。いくつかのパターンはありますけど、そこまでシステマチックではない。なので、個人がアップデートされていけば、そのぶん漫才もどんどんおもしろくできるんやと思います。

――でも近年は、そうやって出るたびにおもしろくなっていくというコンビが少なくなった気がします。どちらかというと知られていない方が有利で、何度も出場しているコンビは苦戦している印象があります。つまり、正統派じゃないから、出れば出るほど鮮度が損なわれて行ってしまうというか。もちろん、何度も出ていれば観ている方の期待値も上がるので、それを超える難しさもあるとは思うのですが。

 今は、正統派と呼ばれる漫才師がどんどん少なくなってきましたからね。正統派はむしろ主流ではないですもん。

 

――M‐1はとにかく新しいことをやらないと勝てないという雰囲気が影響しているのでしょうか。

橋本 それもあるでしょうけど、たとえば2、3年目の若手が正統派漫才をしても、説得力がないと思われて、落とされると思うんですよ。無理してベテランっぽい漫才をやっているように見られるので。

 リアルじゃなくなるよな。

橋本 となると、やっぱり飛び道具を使うしかなくなってくると思うんですよ。突飛なキャラ付けをしてみたり、ぶっ飛んだネタをやってみたり。

ぺこぱは来年以降、どういう評価を受ける?

――たとえば、今回、ミルクボーイの次に名前を売ったのは3位になったぺこぱだと思うのですが、彼らもビジュアルとネタのインパクトが強烈なあまり、来年以降、M-1でどういう評価を受けるのだろうと考えてしまいます。