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 嘘っぽくなるという感じです。わざとらしくなるというか。その点、山内は堂々としてるじゃないですか。

橋本 濱家のイラ立ちがだんだん高まっていくところも、うまかった。あのネタはかまいたちじゃないとできないでしょうね。

ルミネtheよしもとの控え室で行なったインタビュー。かまいたちの話をする橋本さんの視線の先には、同じく劇場の出番を待つ山内さんの姿があった

銀シャリはいつから「王道漫才」になった?

――銀シャリにも、そういうちょっと尖ったというか、変わったネタをやろうとしていた時代があるのでしょうか。

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橋本 奇天烈なこと、やってましたよー。最初の2、3分、ずっとボケてて、最後の1分で一気に突っ込むとか。

 変な漫才やってましたね。

橋本 〇〇漫才みたいな呼ばれ方をされるようになれば、上に行けると思ってたんで。無理やりにでも特徴を出そうとしてたんでしょうね。その頃は「コロンボ漫才」みたいに言われてました。最初に犯人から何から全部さらけ出して、後半で回収するみたいな。

 コロンボ漫才を経ての、王道漫才です。

 

――王道漫才に行くきっかけは何だったんですか。

橋本 新しい漫才を開発しようと思ったって、そんなの毎年、できるわけじゃない。いろいろこねくり回しましたけど、小手先みたいなことになってくるんですよ。ボケて、それをしばらく泳がせて、後から突っ込むとか。でも、泳がせるよりも、ボケた瞬間に突っ込んだ方がやっぱりおもしろいし、楽しい。後から突っ込むのは、その突っ込みがおもしろいんじゃなくて、時間差で突っ込んだことがおもしろいんですよ。なので一度、変な型は全部捨てて、シンプルにやってみようと。やっぱり、スタンダードこそ最強です。ボケたてホヤホヤがいちばんおいしいんやから。僕はそれを調理して、すぐ出さな。その調理法をちょっとスパイシーにしてやればいいんです。それだけでお客さんは、こんな料理食べたことない、ってなるんやから。

【続き】銀シャリが明かすM-1王者後の“3年間”「増えた仕事は1.75倍くらい」へ)

写真=深野未季/文藝春秋