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銀シャリが明かすM-1王者後の“3年間”「増えた仕事は1.75倍くらい」

漫才師・銀シャリインタビュー#3

2019/12/31
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橋本 2010年に初めてM-1決勝に出たころは、一言一句、がちがちにやってました。時間制限もあるんで、練習もめっちゃして。でも優勝した2016年あたりは、本番で初めて出てきたフレーズとかもあった。お客さんに乗せられて、つい出てきちゃったみたいな。でも、漫才はそういう言葉がいちばんハマるんですよ。お客さんの好みがわかった上で、それに合わせて言ってるわけですから。このお客さんやったらソテーやなとか、刺身の方がええんちゃうかなとか。

なぜ銀シャリはコントをしないのか?

――今年の「エアM‐1」でやった「どフリーな感じのネタ」は、まさにそんな感じのネタなわけですね。

橋本 2人で、ただ、ふざけ合ってたら、それが漫才になっていた、みたいなのが今は理想なんです。僕のツッコミも、昔みたいに作り込んではいません。

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 自由でええよな。

 

――2010年のM‐1で披露したアルファベットの歌のネタで出てきた「ロケット鉛筆的に押し出されて、アルファベット難民があふれ出すから」という名ツッコミは、あれは台本通りなわけですね。

橋本 台本に起こしてありました。でも、あれも結局は、言葉の強さに頼ってるだけなんです。今は、そのときのお客さんの状態に委ねてます。

 

――お2人は、あまりコントをされませんが、それはどうしてなのでしょう。

橋本 役になるのって、難しいんですよ。言葉に体重が乗らないというか。

 コンビニの店員やってみたいのがあるけど、できんかった。どういうしゃべり方すればええんか、わからんもん。

橋本 それとコントは途中で、逸脱できないでしょう。漫才はぜんぜん違う反応をしても許される。このお客さんなら、今日は、こんな音出そうかとか。そういう方が向いてるというか、楽しいんですよね。