なぜ漫才で47都道府県を回ることを思い立った?
――今年4月から、ひと月に1カ所のペースで、3年以上かけて47都道府県を回るツアー『銀シャリの産地直送漫才~47都道府県巡り~』をされていますが、あれは、どういうきっかけだったのでしょう。
橋本 単純に、自分らをもっと見てもらいたいな、と。普段、漫才を観に行かないような人も、近所まで来たら、ほな行ってみようかなとなるかもしらん。そういう人をいっぱいつくりたいんですよね。
鰻 全国ツアーは前からやってましたけど、ほんまは全国ツアーじゃないじゃないですか。5カ所しか行けへんとか。それに、なんかいいじゃないですか、全都道府県回れるって。
――ライブはどんな構成なんですか。
橋本 ネタはだいたい3本くらいですね。そのうち1本は、地元のいろんな場所を回って、ご当地漫才をつくります。秋田だったら、秋田のネタで1本。ユーチューブでも公開してますので、是非、ご覧になってください。ツアーが終わったら、47個のご当地漫才が出来上がってると。それもいい。今後、全国どこに行っても、ご当地ネタ持ってますというのがいいじゃないですか。
鰻 日本のこと、めちゃめちゃ詳しくなったよな。4月からスタートさせたから、もう9カ所、回ったんかな。
橋本 キャパも200席くらいのところに絞ってます。そうすれば、お客さんとのコミュニケーションもとりやすいじゃないですか。ネタ以外にも、トークとかゲームをやって、お客さんと親交を深めたいなと。
鰻 めちゃくちゃよく見えますよ。近いんで、触りたい人は触って下さい。
M-1優勝で増えた仕事量は……1.75倍?
――今、ミルクボーイがすごいことになってますけど、実際、M‐1で優勝すると、やはり景色が一変するものですか。よく仕事が5倍になったとか10倍になったとか言いますが。
橋本 僕らは、ありがたいことに、そのときすでに仕事はパツパツに入っとったんですよ。なので倍ってことはないですね。1.75倍くらいじゃないですか。それより、M‐1から解放されたな、という気持ちの面の方が大きかった。いや、より奥に行ける、という感じかな。M‐1のときのようなキレキレの漫才だけが漫才じゃないんで。ある意味、こっから漫才が始まるという感覚だった。
鰻 フィギュアスケートに似てるかもしらんな。オリンピックが終わって、プロになってみたいな。競技から離れた方が自由にできるじゃないですか。アイスショーとかで楽しそうに滑ってはるし。
橋本 漫才も、よう滑るしな。
鰻 うまいことオチついたな。
(【初回】2016年M-1王者・銀シャリが語るミルクボーイ「ツッコミ内海の“間”がエグい」へ)
写真=深野未季/文藝春秋