「三宅雪子さんが自殺した」
元衆院議員・三宅雪子氏(享年54)の元政策秘書からラインが来たのは、メディアが速報を打つ2時間ほど前のことだった。
私は「ええええ!」と返すしかなかった。あの“不死身”の女性がなぜ――。
クローズアップされた松葉杖での国会登庁
1月2日、三宅氏は東京都内の海岸で遺体で見つかった。海に飛び込んでの入水自殺と見られる。メディアに報じられたのは6日になってからだ。
元フジテレビ社員の三宅氏は、官房長官や労働大臣を歴任した石田博英氏の孫で、小沢一郎衆院議員とは長い付き合いがあった。その縁で、2009年衆院選に福田康夫・元首相の群馬4区から出馬。比例復活ながら当選を果たし、「小沢ガールズ」と呼ばれた。
三宅氏がクローズアップされたのは2010年5月、衆院内閣委員会の採決で与野党議員がもみ合う中、不自然なまでに派手に転倒。松葉杖で国会に登庁し「パフォーマンスでは?」と疑われた一件だ。
私が初めて三宅氏に接したのは、その騒動から1ヵ月後。小沢氏の民主党幹事長辞任を受け、小沢ガールズがどう思うのか聞く取材のためだった。
自宅マンションの4階から転落した前夜……
以降、私は頻繁に三宅事務所に出入りするようになった。当時、小沢氏の一挙手一投足がニュースになっていた頃で、三宅氏がズケズケと小沢氏に電話をしたり、小沢事務所に顔を出すものだから、ネタには事欠かなかった。
そんな三宅氏が同年11月、事故に見舞われる。自宅マンションの4階から転落し、腰椎を複雑骨折する大けがをしたのだ。
速報を耳にした時、私はゾッとした。事故の前夜、酔っぱらった三宅氏から「今週、私の記事載りますか?」といった電話を受けていたためだ。三宅氏から暇つぶしのような電話をもらうことは珍しくなかったので、その時も私は適当な受け答えをした。それが引き金となって自殺を図ったのではと恐れたのだ。
真相は、廊下の外に落ちた携帯電話を拾おうとし、中庭に落ちたとのことだったが、4階から落ちてよく命を落とさなかったものだと感心した。
病院に見舞いに行くと、三宅氏は7時間にわたる大手術だったにも関わらず、ケロッとした様子で、資料を読んでいた。早く国会に戻りたいのだという。私は呆れたようにこう声をかけた。
「三宅さんは不死身ですね。長生きしますよ」