文春オンライン

ニュース配信戦争勃発! 「ヤフーニュース独り勝ち」でネットメディアはどこへ向かうのか

コンテンツ業界のエコシステムについて

2020/01/09
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人を動かすニュース記事を選別する側の驚くべき軽さ

 そして、石戸諭さんはまさにヤフーニュースの立ち上げで尽力された奥村倫弘さんへもインタビューしています。何の因果か、私のやっているサロン『漆黒と灯火』でも奥村さんをお呼びして話を聞く予定だったりもしますが、石戸諭さんが今回の記事で解き明かしたのは、人を動かすニュース記事を選別する側の驚くべき軽さではなかったか、と思います。

漆黒と灯火
https://yakan-hiko.com/meeting/yamamoto.html

 ヤフーニュースに携わる責任者の人たちもまた、かなり歴戦の勇士が揃っていますし、私もご担当者と話をする中で「ああ、この人はよく分かっているし、慎重だし、信頼が置けるなあ」という人も少なくないからこそ、いまでも関係が継続し、逆に教えていただくこともまた多々あり、より良い記事を作ったり、調査や取材で不安になったときは相談をしたりします。

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©︎iStock.com

フェイクニュース、間違った情報、そしてヘイトコメント

 逆に言えば、ネット社会が広がり、新聞社や通信社、雑誌社などが培ってきたお作法やコストのかけ方を知らない人たちの手による記事が増えてきた結果、より多くの人に読まれさえすればよいのだろうという記事がたくさん量産されて、またそれがコンテンツにお金を払いたくないと思う読者の支持を得て伸びてしまった、というのが実情ではないかと思います。ヤフーニュースは広告ベースの仕組みであるからこそ無料で良質な記事を広げるエンジンの役割を担った一方、前社長の宮坂学さんが構想したような「日本版CNNを作りたい」という方針のはずが結果として「ネット版鉄道弘済会によるキヨスク」ができてしまったのかもしれません。

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 そして、今後はフェイクニュース問題も含めた、間違った情報を流布させたときにどう対処しますかという課題を突き付けられていきます。本来は、言論や表現の自由が憲法で認められている以上は、ネットで有象無象が面白半分に発言することもまた国民の権利であるわけですが、石戸諭さんの記事にもある通りヤフーに掲載されたニュース記事に対して、偏りのある読者がヘイトコメントを書いている現状をどうにかしろというのもまた分かります。