Yahoo! JAPANとLINEの経営統合
そればかりか、いまや各媒体の執筆記事が第三国からの資金・情報提供で書かれた都合の良い記事が流通してしまう類の安全保障上の問題であったとき、単に「コメント欄については問題のある書き手は独り相撲モードにして、その人にしか見えないようにするので対策は概ね大丈夫です」とはならない問題を引き起こします。
ときとして「マスゴミ」とまで揶揄されるマスコミ批判のすべてが正しいとは思いませんが、物事の事実関係がすべて確認されたものだけヤフーニュースで掲載されます的な状況が望めない以上は、ヤフーニュースにどのような役割を社会的に求めていくべきかはよく考えていく必要があります。
最後に、Zホールディングスが傘下のYahoo! JAPANと、SNS大手のLINEの経営統合を発表したことは触れざるを得ません。この合併により、ニュース配信のサービスにおいては、実質的にガリバーであるヤフーニュースと、スマホ経由の情報流通では2位と目されるLINEニュース(Livedoorニュース含む)とが同一資本に入ることになります。
グランドデザインやそれを支える価値観・哲学の不足
これもう、ネット発の大正義通信社よね。大丈夫なのかしら、と心配になるのは、やはり前述の恣意性がなかったとしても結果として編集権を行使しているに近い状態になるわけでして、本件以外でも問題山積であるとはいえ公正取引委員会はどう思っているのか気になるところではあります。とはいえ、良かれと思った国内大手の事業者同士の経営統合(株式の7割以上を韓国資本に握られているLINEを日本の国内事業者と判ずることに難色を示す人は確かに少なくはありませんが)で日本の当局がこの経営統合を妨害することで、結果として日本の当局や法律が及ばないGoogleやFacebookなどの海外事業者がより日本国内で躍進することも考えられるので、このあたりの機微は非常にデリケートなところではありますが。
それもこれも、我が国が国内にあるデータをどう利活用したいと思っているのか、ニュースを含めたコンテンツの流通についてどういう国益を確保しようとし、どのような競争戦略を敷いて国民や社会の利益に資する活動に企業を従事させたいと思っているのかというグランドデザインやそれを支える価値観・哲学の不足に問題があるようには思います。
いまの新聞社や通信社、出版社がガバッと死んでも喜ぶのは馬鹿しかいないと思うので、石戸諭さんの記事も踏まえて、デジタル・プラットフォーム事業者が構築するべきコンテンツ業界のエコシステムについて是非考えていっていただければと願う次第でございます。
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