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2016/05/14

genre : エンタメ, 読書

「実用的」かつ「豊かな」文化の継承

 酪農の棚に、『牛の結び方』という本があった。リボンで結ばれた牛のかわいいイラストからイメージするものに反して、酪農家にとっては、きわめて実用的な本である。牛に注射をする場合、牛の脚を固定する場合、鼻環を引く場合、それぞれのシーン別にどのようにロープを掛けるのか、ポイントを押さえたイラスト入りで解説している。大判でリング綴じなので作業しながら開いて見やすい。酪農にも養蜂にも農作業にも、それぞれの現場ごとに実用的なノウハウがあり、親から子へ、先代から後継者へと伝えられてきたのだが、一度途切れると失われてしまう。荒井店長は、農業書センターがその継承の助けになればいいと言う。

 農文協・農業書センターは、農業関連書を中心に約3万点の蔵書を持つ。ミツバチ本や猟師本で見たように、それぞれの作物、農業経営、法律、TPP、食文化、食育、ソーシャルデザイン、それぞれのジャンルで農家や農業団体、研究者、教育者を含む全国のお客様からの要望に応えて品揃えしてきた結果、ほんとうに現場で使える本が集められている。それらの本は、それぞれ必要な読者にとってきわめて実用的であると同時に、農山漁村文化の記録として、緑あふれる日本列島の一側面として、豊かで、刺激的で、面白い。

『牛の結び方』。かわいい表紙だが、内容はかなり実用的。
荒井操さん、『自分で出来る打ち抜き井戸の掘り方』とともに。

【本の話WEB読者にオススメ】

 農文協・農業書センター店長の荒井操さんのオススメ本は、曽我部正美さんの『自分で出来る打ち抜き井戸の掘り方』(KN企画)。タイトル通り、自分で井戸掘りに挑戦したノウハウをまとめた本だが、一般の書店には流通していない自費出版で、農業書センターでは取り扱って以来のロングセラーになっている。

 こんな面白い本がある農文協・農業書センターを、農家や農業団体、農学の専門家、いわばプロだけのものにしておいてはもったいない。本の街神保町をおたずねの際は、ぜひ、立ち寄ってほしい。

農文協・農業書センター
住所 東京都千代田区神田神保町2-15-2 第1冨士ビル3階
営業時間 平日(10:00~19:00) 土曜(11:00~17:00) 日祝休
URL http://www.ruralnet.or.jp/avcenter/
Twitter https://twitter.com/doburockman
Facebook https://www.facebook.com/農文協農業書センター-571588376292465/

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