求む、ダメなやつ
安田 そろそろ締めの話題に入りますが、2020年は自分が最初の著書を出してからちょうど10年目なんですよ。それで、noteを始めてみた最初の記事に昔の話を載せてみたりもしたわけです。
あと、この年末年始に沖縄に住む20代のライターの記事をなんとなくアドバイスする流れになって、次回上京時に泡盛1本をもらうのを条件にずっと教えたりもしていたんですね。山谷さんは「後進を育てたい」みたいなことを考えたことありますか?
山谷 後進を育てたいまでは考えないけれど、ノウハウを教えてちょっとお金にしたいというのはあるかな。ニュースソースの発見の仕方とか。どう検索するか、何に目をつけるかみたいなの。安田さんはなにを教えたいんです?
安田 文章術を教えてみたいですね。私、たまたま中国と縁が深いので現代中国ルポの専門家みたいになっていますけど本質的にはライターなので。今度、中国とはまったく無関係な恐竜の原稿を書く大型の仕事があって、出張予定が入っています。
教育系スタートアップで拾えないニーズ
山谷 中国では教育系のスタートアップもあって、技術を持つ人がそれを有料で教えるようなサービスもあります。ライター術を有料コンテンツで売ることは日本でもできるはずだけど……。ただ、不特定多数の人に一方通行で売るのはつまらないですよね。自分が教えたいと思う人に教えたい。
安田 ですよ。前に「アシスタントやりたい人いる?」ってTwitterでつぶやいたら、「商社勤務で副業でライターもやりたいです」という方がお返事をくれたんですが、ちょっと違うかなあって。君は副業しなくても生きられるやんけ! という。
山谷 わかる。教えるなら昔の僕らみたいな人をなんとかしたい。
安田 大学なり大学院なりで真面目に勉強してから就職したけれどブラック企業のパワハラで退職して、現在はコンビニでレジ打ってる年収200万円のライター志望者28歳男性(彼女いない歴8年)みたいなやつを、そこそこ名の売れたライターに育ててみたいですねえ。そいつは別に中国に詳しくなくてもいいわけですよ。矢吹ジョーを育てる丹下段平のポジションを体験してみたい。
山谷 それ、育てたやつが最後にホセと試合して燃え尽きるやつじゃないですか(笑)。ともかく、そんな感じで本年もよろしくお願いします。
安田 ですね。2020年の中国がどうなっていくかも、引き続き見ていきましょう。