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無人コンビニ×、シェア自転車×……中国スタートアップ、もうオワコンなの?

「日本語専攻者はAV業界に行け」と言ってた中国企業とは

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 猛烈な速度で変化を続ける中国は、継続的にウォッチするだけでも大変だ。かつて「スゴイ」と言われていた中国のイノベーション・ブームもかなり下火。加えて米中対立のもとで西側諸国から中国への風当たりが強まったことで、近年は中国製アプリの言論統制問題など、IT事情に限っても剣呑な話題が多くなっている。

 そんな激動の2019年の中国IT関連の動向を中心に、1月17日のイベント「B級中国 vs. S級中国」の開催を控える中国ルポライターの安田峰俊氏とアジアITライターの山谷剛史氏に振り返ってもらった。

 もはや毎年恒例となった両者の中国対談。興味のある方は2018年記事(その1その2)と2017年記事(その1その2)もご覧いただきたい。

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人口1200万、深圳の街並み ©iStock.com 

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「中国の社会がきっちりしちゃって、つまらなくなった」

安田 おはようございます。今回は2人のスケジュールが合わなかったので、昆明にいる山谷さんとLINEのテレビ電話での対談です。最初はWeChat(中国で普及しているチャットソフト)で喋ろうかと思ったんですが、政治的にまずい話が出ると日本語の会話でも当局にチェックされてしまうので、あえてLINEに。

山谷 夜になると、VPN(中国でtwitterやLINEなどをはじめ様々な西側のネットサービスを利用するために用いる暗号化技術)が接続しにくいんですよね……。去年の6月に香港デモが始まってから、よりキツくなった印象です。ネット接続の面倒ひとつを取っても、中国だけを拠点にすると厳しい時代になりました。

安田 山谷さんは雲南省の昆明に長く住んでいましたが、数年前から日常生活の拠点を日本国内に移しましたよね。

中国の意識高い系が推していたレストラン「SPACE LAB失重餐庁」に行ったら人が少なくてがっかり気味の山谷と、ケニアのサバンナで中華鉄道をウォッチしてテンション上がっている安田

山谷 昆明との縁は18年目で、今後も定点観測は続けますが、最近の生活拠点は日本で、中国以外を見ていこうと動いてます。理由はネットの件や物価の上昇もありますが、なにより中国の社会がきっちりしちゃって、つまらなくなった点も大きい。もちろん、まだカオスなものは残っていますが、往年の縮小再生産みたいな感じはあります。

安田 私もそれを感じています。最近は別の国に行って中国っぽいものを追いかけるほうが、未知の世界を見られて楽しいんですよ。2018年末以降だと、『もっとさいはての中国』で書いたカナダやルワンダ、ケニア、ほかに技能実習生関連の取材で行ったベトナムなんかが面白かった。どの国でも、取材言語はほとんど中国語です。