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「日本語専攻者はAV業界に行け」と言ってた会社

安田 なるほど。ところでシャオミって、中国国内ではデジタルガジェットだけではなく、カバンや炊飯器までシャオミ的なライフスタイルを提案する「デジタル風味が強い無印良品」みたいなブランドですよね。ガジェットオタクのラブドール仙人(過去記事参照)は「シャオミにはすべてのものがあるが、欲しいものはひとつもない」という名言を残していましたが(笑)。

中国貴州省の山奥で8体のラブドールと暮らすラブドール仙人。安田は最近も連絡しましたが元気です

山谷 中国国内ではそうですね。いっぽう海外市場ではスマホ販売がメインで、特にインド市場が大きくて中国国内と同じくらいの市場規模を持っています。ただ、韓国だけは面白くて「スマホ以外」だけを売っているんです。

安田 ちなみに、シャオミは2017年9月に同社の当時のイノベーション部門の責任者が就職説明会で「あなたが日本語専攻の学生なら出て行って。そうじゃなきゃ映画業界でなら仕事させてやるよ」と発言した会社でもあります。ここでいう「映画業界」はAVの隠喩です。

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 この発言は炎上して当事者が謝罪文も出したんですが、シャオミが2年前まで「日本語専攻者は不要だからAV業界に行け」と言っていた会社である点は、日本人は忘れちゃいけないと思いますけどね。今回の日本進出の際に掘り返されるかと思ったら、意外と報道が少ないですが。

山谷 時系列的に流れを見ている人が少ないからですよねえ。目の前の「スゴイ」だけ見ちゃうから、昔のことを忘れちゃうという。

ゴビ砂漠に赴任命令を出してリストラ

山谷 2019年は中国のスタートアップ・ブームがひいた年でした。僕はHuaweiがやっている中国スタートアップ紹介メディアの『36kr (日本語版)』の特別解説員をやっているんですが、最近は中国発のスタートアップ関連のニュースが減ってしまって。中国版36krを読んでいると記事数を減らすわけにはいかないので、中国ネタの代わりに他の国のスタートアップ紹介をやってるんです。

安田 確かに、無人コンビニは「ただの箱」になってるし。「中国新四大発明」とまで騒がれたシェア自転車はかつての勢いがなくなったし、シェア自動車もヤバい。中国は新しいものが一瞬で盛り上がるし、勢いに乗っているときには関係者がスゴいイメージを吹きまくるんだけれど、オワコンの気配が漂うと一気に死に絶えていく。

山谷 けっこう生き残ってるのはスマホを充電するシェアバッテリーですね。個人経営の食堂なんかにも「街電」なんかの機種がしっかり置いてある。

安田 2017年8月に「HI電」という弱小シェア充電器チェーンが、リストラ策として「自費で新疆ウイグル自治区のカザフスタン国境の街に赴任しろ。3日以内に来なければクビ」という命令を社員に出すなど、ヤバい会社が修羅場になっていました。ちなみにHI電社員の赴任先はカザフスタン国境の他に黒竜江省のロシア国境、雲南省の紅河ハニ族自治州、内モンゴルのゴビ砂漠の街なんかもあったそうですが……。さておき、この大量絶滅から生還しているところもある。

山谷 ですね。あと業界全体がヤバいのは電子タバコです。一時期、雨後の筍のように大量の新興メーカーが登場したんですよ。一昔前のmp3プレーヤーの製造メーカーみたいな感じで。でも、アメリカで電子タバコが禁止されて大ダメージ。さらにお膝元の中国でも、EC(電子商取引)での電子タバコ販売が禁止されてしまったので、今のEC時代では「ほぼ死亡」という感じです。