あと、言葉によっては字と音が必ずしも一致していないということがある。「東京都(とうきょうと)」だったら、文字は「トウキョウト」でも実際は「トオキョオト」と口にしているわけで、これは「oの音」だけの言葉として扱ってもいいのではないかと思う。他にも「衛星(えいせい)」だって、実際は「エエセエ」と口に出している。英語は字と音が一致しない例が多いことで悪名高い言葉だと言われているそうだけど、われらが母語だってそのあたりはけっこうめちゃくちゃだ。文字よりも音を第一義にして言葉を集めているため、「oグループ」には「東京都」を一応入れておくことにする。
「伸ばし棒」(ー)については、実際の音をそのまま採用。「トゥールーズ」の伸ばし棒は前の音を引きずって「トゥウルウズ」と読まれるし、「オートモード」なら「オオトモオド」と読まれる。前の音に付き従って変わってくれる扱いやすいヤツ。
もっとも厄介なのが小さな「ッ」の扱い。特殊な音なので扱いに困る。この言葉集めを始めたばかりのときは「ツ」の字が「uの音」の仲間ということで「uの音」に入れていた。だから「フック」や「ルックス」は「uグループ」に入れるけど、「サッカー」は「aグループ」には入れないという区分けだった。でも、これだけ字よりも音を第一義にするというルールにしてきたのに、「ッ」だけ例外というのもちょっとおかしい気がしてしまうので困った。「ッ」は一拍は形成するけれどパーフェクトな一つの音ではないと見て、無視をしてしまうのも一つの手だと思う。それでも別に間違ってはいないと思うし。無視をした場合は「サッカー」も無事に「aグループ」の仲間入りだ。
そしてある程度まで言葉の収集が出来てきた頃には、それらをくっつけてちょっとした小噺をつくろうと企み始めた。その際に重要になるのは、助詞や接続詞だ。言葉と言葉を接着するのに不可欠なものだけれど、ルールがある以上それにもやはり使用に制約がかかる。「aグループ」であれば「が」「は」「だから」「~から」「~ならば」「だ」あたりが使える。並列するときの「や」とか、問いかけるときの終わりにつける「か?」も使用可能だ。手持ちのカードに格助詞があるのは強い。
「iグループ」は「に」、「eグループ」は「で」「へ」、「oグループ」は「を」「の」「も」「と」「こそ」あたりが使える。助詞に恵まれていないかわいそうな「uグループ」だが、良いところもないではない。動詞はだいたい「uの音」で終わるため、「する」とか「作る」とか「撃つ」とかを使えば、けっこう動きを出せるのである。