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【オリックス】交流戦からの巻き返しは可能! その根拠は“QS率”の高さにあり

文春野球コラム ペナントレース2017

2017/05/27

まだまだそう悲観したものでもない2017

 何とも我慢の日々が続いている。5月に入ってここまで3勝16敗(24日現在)、貯金はとうに使い果たし借金生活を抜け出せずにいる。あと1本が出ない。投打が噛み合わない。Bsファンのストレスは手に取るように分かる。

 しかし自分は、まだまだそう悲観したものでもないと思っている。「あえてのポジティブ発言」をしている訳ではない。根拠をもとにそう考えており、きっと近く状況も好転するであろうと思っている。

 根拠とは何か。それは依然高いBs投手陣の「QS(クオリティスタート)率」である。24日現在、BsのチームQS率はリーグ2位。且つ、首位の楽天が「0.579」なのに対しBsは「0.571」と僅差。投壊と揶揄される現状だが、数値的には全く問題が無い。むしろBsの先発投手陣はきちんと試合を作れているのである。

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 では何故QS率のリーグ上位2チームにここまで大きな差がついてしまったのか。それは「QS勝率」にある。

 ここで少しQSについておさらいをしておきたい。QSとは先発投手を評価する指標の一つであり、先発投手が6イニング以上を投げ、且つ自責点3点以内に抑えた場合にカウントされる、言わば「先発投手がいかに安定しているか」を図る指標である。「先発投手の最低限の仕事」とも言えるだろう。

 仮に4試合に登板しこの条件を満たした試合が3試合あればQS率は「0.750」となる。もちろん投手個人に視点をおけば、限りなく高い数字を残す投手は各球団に存在するが、前出の数字は「チームQS率」。Bsはローテーションを通して先発投手が試合を作り続けていると言える。

ここまでチームトップの5勝をマークしている金子千尋 ©文藝春秋

「QS勝率」の向上こそが急務

 話を「QS勝率」に戻すとしよう。この「QS勝率」、文字通り投手がQSを達成した試合で、チームが勝利した割合を表すアベレージだ。このQS勝率が高ければ野手は「投手を援護した」事になり、逆に低ければ「投手を見殺しにした」事となる。この「QS勝率」、ここまでBsは13勝11敗の「0.542」。残念ながら現在リーグワースト2位の数字である。QS勝率リーグ首位のソフトバンクが「0.950」であるから、ソフトバンクの投手は最低限の仕事をすればほぼ毎回勝利投手となるのに対し、Bsの先発投手は最低限の仕事では2試合に1回は敗戦投手となってしまうとも言える。

 また、先発投手がQSを達成した試合に勝てないとなると、多くのケースで同時に相手先発投手のQSを達成させる事になるので、その差はより大きくなるのだ。

 ちなみに「援護に恵まれない」としきりに同情されるルーキー山岡泰輔投手。ここまでのQS率は「0.666」、3試合に登板すれば2試合はQSを達成しているのに未だ勝ち星に恵まれない。それもそのはず、ここまで6試合に登板して「援護点」は「4点」。1試合あたりに彼が野手から貰う援護はなんと「0.6点」である。QSどころか完封しても勝てない計算になる為、勝ち星に恵まれないのも当然である。逆にこうなると山岡と対戦する相手投手はほぼQSを達成する計算になる。

 同じように松葉貴大投手も「0.833」と高いQS率を誇っているが未だ「1勝」、援護に恵まれず苦しんでいると言える。

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