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特集観る将棋、読む将棋

2020/01/21

「日本将棋連盟会長 佐藤康光」の供花も

 山形駅近くの斎場にはたくさんの人が集まっていた。遺影の五十嵐さんは、とてもいいお顔をしていた。お孫さんの「お風呂から歌声が聞こえなくなるのがさびしい」という弔辞には、まいってしまった。

 壇上左側には「日本将棋連盟会長 佐藤康光」の供花もあった。すべて確認するのが難しいほど花が出ていたので、きっと他にも将棋関係の人のものがあったと思う。

 葬儀後にマイクロバスで葉山館に移動し、午後6時から偲ぶ会。その後に温泉に入り、将棋を指し、お酒をいただき、気がついたら翌朝になっていた。

 同行させてもらった大内会の面々は、雨が降れば「五十嵐の涙雨だ」。それが雪になったら「五十嵐の涙雪だな」。朝起きたら「いまにも五十嵐が起きてくるような気がする」。朝食会場でも「そこに五十嵐がいる気がするんだよなぁ」などとずっと言っていた。大学時代から50年以上の付き合いで、こんなに好かれ続けている。失礼な言い方かもしれないが、幸せな人だと思う。

1月15日、水曜日。

 帰り際に五十嵐さんの駒コレクションが展示されている廊下を歩いた。全部で50組はあるが、きっとこれでもごく一部なのだろう。

 駒のほかに、山口瞳氏や大山康晴十五世名人の色紙も飾られていた。ふと見ると大山先生の色紙が少しずれている。あとで女将にそれを伝えると、「まあ、いつからでしょう!」と驚いていた。年末に五十嵐さんが亡くなってからきょうまで、ご家族や従業員はどれだけ大変だったか。

大山康晴十五世名人の色紙も ©後藤元気

 昼前に宿を出て、丸内牛肉店で名物の山形牛コロッケ、かみのやま温泉駅で牛肉どまん中弁当を買う。帰りの新幹線は仕事をしようと思っていたけれど、そうは事が運ばない。車内販売でハイボールやチューハイを仕入れてのプチ宴会となるのは、もはや仕方のないことなのだった。

1月18日、土曜日。

 将棋ペンクラブの新年会に行く。この会は昼に将棋を指して夕方から宴会という流れで、将棋古書で有名なアカシヤ書店(http://www.akasiya-shoten.com/)の星野さんが取り仕切ってくださっている。

居酒屋に移動しても将棋という人も…… ©後藤元気

 将棋ペンクラブについてはいずれまた長々と書く機会があると思うので、ここではホームページの紹介だけ(https://shogipenclub.com/)。会員はいつでも募集中。資格は将棋が好きなことだけなので、よかったら検討してみてくださいませ。

 宴会が終わったあと、幹事の森さんと圷さんを誘って近場でもう一軒行く。森さんは将棋ペンクラブログ(https://shogipenclublog.com/blog/)を運営しており、NHK杯の観戦記も書いてもらっている。

 圷さんは「あくつ」と読む妙齢のレディだが、阿久津主税八段を特にひいきにしているわけではないようだ。

朝日杯将棋オープンではベスト4まで勝ち進んだ阿久津主税八段 ©文藝春秋

 そういえば阿久津さんの記事(https://bunshun.jp/articles/-/22062)は、らしさがよく表現されていて面白かった。

 ペンクラブの幹事は若い人が増えてきた。苦労ばかり多くて損得だけ考えたらとてもできない役回りだが、将棋文化の一翼を担っているという気位の高い志は継承されているように思う。私も及ばずながら、協力できることはしていきたいと考えている。

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