昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2020/01/30

 このような症状が出た場合、大抵は普通の風邪で、家で休んでいれば数日で治るし、病院にきて、周囲にうつされては困るからだ。

 ただ、そうは言っても新型コロナウイルスは心配だ。現在、私の外来を発熱や咳で受診する患者の多くは「新型コロナウイルスの検査をして欲しい」と希望する。

 既にヒトからヒトにうつることが確認され、日本国内に複数の患者が入っているのだから、不安になるのも当然だ。

希望者全員の検査が“できない”理由

 このような不安を和らげるには、政府や有識者が「毒性が低い」などの一般論を言っても無駄だ。患者は益々不安になる。このような状態にもっとも効くのは、実際に検査をすることだ。検査をして、自分が感染していないことを確認すると、誰もが安心する。

 新型コロナウイルスの検査は簡単だ。鼻腔やのどに綿棒を入れてぬぐい液を採取するPCR法を用いてコロナウイルスの遺伝子の有無を調べればいい。PCR法は多くの感染症に対して、臨床応用されている。シンプルな検査で、設備さえあれば数時間で結果はでる。外部の検査センターに委託する場合でも、翌日には結果が戻ってくる。

 ところが、普通の国民は、このような検査を受けることが出来ない。厚労省の方針で、検査は中国からの帰国者や濃厚接触者など、ごく一部に限定されているからだ。

 東京都文京区で似鳥クリニックを経営する似鳥純一医師は自らのFacebookに以下のように記している。

「普通に考えて、、新型コロナウイル感染症疑いの方の患者さんを診察した場合、診断のために東京都はすべて検査をしてくれると思うでしょ。

 検体の受け入れに関して保健所に質問してみたところ、検査はかなり限定的だってことを知りました。

 日本人が二次的に感染をした可能性があっても検体の受け入れはない。。。。。。現在はそのような方針のようです。」(原文ママ)

 厚労省がやるべきは、希望者全てが検査できるようにすることだ。財源を用意し、保険診療に入れればいい。あとは放っておいても医療機関と検査会社が体制を整備してくれる。陽性例が出た場合、彼らから報告してもらえば、自動的に情報も収集できる。

 1検体で1万円くらいだから、100万人が検査しても、その費用は100億円程度だ。厚労省は公衆衛生のためには、国民は多少の不安は我慢すべきだと考えている。新型コロナウイルス感染で、検査をさせないことは、情報を「隠蔽」することと同義だが、そのことに疑問を感じていない。

新型コロナウイルスの検査自体は簡単だが、現状では希望者全員の検査は難しいという(※写真はイメージです)。 ©iStock.com

■誤解(6)「『指定感染症』に。日本政府はベストな選択肢を取っている?」

 ここまで読んで、「感染者がクリニックに殺到したら、クリニックを舞台に感染が拡大するのではないか」とお考えの方がおられたら、センスがいい。私も、その可能性は十分にあると思う。

 クリニックには糖尿病や肝臓病などの持病を抱えた高齢者が大勢受診している。彼らこそ、新型コロナウイルスに弱い人たちだ。感染者とは接触しないようにしたい。どうすればいいのだろう。