昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2020/01/30

 私は基準を満たせば、躊躇なく隔離や就業禁止措置がとられると考えている。もし、このような措置をとらず、他者にうつせば、役所の責任が問われるからだ。このような場合の役人の行動原理は責任回避だ。

 これは国民にとって堪らない。新型コロナウイルス感染で重症化するのは一部だ。29日現在、中国では5,974人の感染が確認され、重症者は1,239人(20.7%)だ。

 20%を超える重症化率は、敗血症や誤嚥性肺炎と比肩する深刻な病気ということになるが、普通の医師なら、そうは考えないだろう。敗血症や誤嚥性肺炎を見落とす医師は少ないが、新型コロナウイルスは症状が出ずに治ってしまう不顕性感染の人が多いので、真の重症化率は遥かに低いからだ。

厚労省が報告を義務付けているのは武漢滞在歴があり、37.5度以上の発熱があり、肺炎の臨床症状を有するケース ©AFLO

2週間も家をあけ、仕事を休める人がどれだけいるだろうか

 小児や若年世代の感染者の多くは家で寝ていれば、自然に治っているはずだ。ところが、今回の措置により、このような人たちでも、感染が確認されると、2週間も隔離され、就業を禁止されかねない。隠したいと考える人も出てくるはずだ。

 一体、いまの日本で2週間も家をあけ、仕事を休める人がどれだけいるだろうか。「多分、新型コロナウイルスではないだろう」という希望的な観測に基づき、検査を受けない人がでてくるだろう。このうちの一部は新型コロナウイルスに感染しているだろう。彼らが感染を拡大させるかもしれない。

 新型コロナウイルスはインフルエンザのようなものだ。私が知る限り、国家が強権を発動することで、このような感染の拡大を防げたというエビデンスはない。インフルエンザ対策は、感染したら会社に来ない、解熱しても2日間は休むなどの習慣が社会に根付いたことで、流行が抑制されている。

 新型コロナウイルス対策で求められるのも全く同じだ。じっくりと時間をかけて社会で合意を形成し、国民が良識ある行動を取らねばならない。

 厚労省は公衆衛生の危機を煽るのではなく、国民視点で対策を見直すべきだ。彼らに求められるのは、公衆衛生を錦の御旗に国民を統制することでなく、国民をサポートすることである。

この記事の写真(7枚)

+全表示

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー