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 私は遠隔診断を活用すべきと考えている。スマホの画面で患者の全身状態は十分わかる。患者の状態を踏まえて、説明も出来る。

 出来ないのは検査だ。これは検体採取キットをクリニックから送り、患者から検査会社に郵送してもらえばいいだろう。結果は検査会社からクリニックと患者に送れば全くクリニックに来なくてもいい。

 この結果を踏まえて、医師が入院が必要と判断した場合だけ、入院してもらえばいい。

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中国ではWeChatのアプリで遠隔診断ができる

 実は、このようなやり方は既に中国で実施されている。医療ガバナンス研究所には上海在住のスタッフがいる。以下は、その人物から聞いた話だ。

 中国では、発熱した人は、WeChatのアプリをダウンロードし、当局に報告することになっている。そうすると、すぐに医師が遠隔で診断する。もし、医療機関を受診する必要があると判断されれば、WeChatアプリから得た住所情報を用いて、車が自動的に手配され、病院に連れて行かれる。医師にかかる必要がないと判断されれば、患者は自宅で待機する。そして、その後の経過を、このシステムを用いて報告する。

 では、家族はどうするか。患者は他の家族とは隔離するように指導され、多くの場合は家族が避難する。そして、患者の自宅は消毒される。非常に合理的な対応だ。

日本では感染者は「強制入院」になる

 これは日本のやり方とは対照的だ。日本では新型コロナウイルス感染が指定感染症に認定されたため、感染者は約400の指定医療機関に強制入院させられることになる。東京都の場合、都立駒込病院や東京都保健医療公社荏原病院などだ。

 何れも重症患者を受け入れる病院である。新型コロナウイルスにもっとも弱い患者が集まっているところに、家で寝ていれば治る可能性が高い患者を収容することになりかねない。

武漢から政府のチャーター便で帰国した206人。“症状がない”人は国際医療研究センターへ向かった ©AFLO

 厚労省は現時点での強制入院の基準を法令などで定めていない。「風邪などのような軽症で入院させるかは検討しないといけない」と話しているという。厚労省が報告を義務付けているのは、武漢滞在歴があり、37.5度以上の発熱があり、肺炎の臨床症状を有するケースだ。多くの感染者はすり抜ける。

 では、今回の指定感染症の措置は現場にどのような影響がでるだろうか。