映画『嘘八百 京町ロワイヤル』(1月31日公開)で、陶芸家の佐輔を演じている佐々木蔵之介。腕は良いのに売れない佐輔と、目利きだが冴えない古美術商の則夫(中井貴一)がタッグを組んで、大物たちにコンゲームを仕掛けるヒット喜劇『嘘八百』の第2弾だ。

佐々木蔵之介

「前回はたった16日間で撮って、初日に『これは3日で回収できますね』って聞いて、予算がかかってないのが露呈したんです。おかげで2作目を撮れることに(笑)。今度はパワーアップしたのか撮影期間が20日間になり、さらにマドンナがいるんですよ」

 マドンナ役は広末涼子。父の形見である古田織部の茶碗を奪われたという彼女を助けるべく、則夫と佐輔のコンビは京都の大物や政治家を騙そうと奮闘する。

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「涼子ちゃんの存在は大きいですね。でも僕は妻役の友近さんとのシーンが多い。友近さんは本当に頼りになりますね。現場でも、妻としても」

 ダブル主演となる中井貴一との再共演が、何より嬉しかったという。

「貴一さんは映画もテレビも舞台も、ずっと第一線を張っている。現場では芝居だけではなく、仕事に向かう姿勢を肌で感じられる。この経験だけでももう一度出来たことが嬉しいですね。則夫と佐輔の関係も、お互いの技術を認め合い、打算がありつつも心で繋がっている。あと一つ、貴一さんのご両親も、僕も京都出身なので、京都の言葉を使いながら、京都に居られるのはとても心地良かったです。良い時間を過ごさせていただきました」

 陶芸家の佐輔は妻に頭が上がらない一方、古美術商の則夫は女に弱い。前作よりキャラクターが明確になり、喜劇らしさも高まってきた。

「実はこの映画、とても良い映画なんですよね。撮ってるときは撮ることに一所懸命で気付かなかったけど(笑)。焼物をめぐる歴史ロマンがありつつ、僕と貴一さんのお互いの腕を信じるパートナーとの関係、そして妻との信頼関係や親子の関係がいろいろ絡んでいる。佐輔にはデカい息子がいるんですが、そこには父親からオタクの息子への橋掛けがあるんです。そして陶芸家としては、若い陶芸王子(山田裕貴)への橋掛けがある。騙し合いの面白さはもちろんですが、織部が欠けや歪みに美を見出したように、人にも欠点があっていいという部分も好きですね」

 笑いの中にも、親子の業(ごう)が浮き彫りになる物語に、自身のことが重なったのではないだろうか。

「父は造り酒屋で、自分が継ぐことを決めて大学も農学部に行ったんです。父は話すのが苦手だったので、大学では弁論部に入っていたんですが、僕も同じような理由で演劇を始めた。どちらも家業のためだったんですね。京都の酒蔵がどんどん潰れてしまう中、うちは生き残ってこれた。それは父親が職人として誇りを持っていたからだろうと思うんです。今は弟がやっていますが、僕は蔵を継がなかった分、俳優業をしっかりしないといけないなと思います」

ささきくらのすけ/1968年生まれ。京都府出身。神戸大学農学部卒業。『超高速!参勤交代』で第38回日本アカデミー賞主演男優賞受賞。NHK大河ドラマ『麒麟がくる』で、藤吉郎(のちの豊臣秀吉)役を演ずる。

INFORMATION

映画『嘘八百 京町ロワイヤル』​
https://gaga.ne.jp/uso800-2/