自分の血で血判状を書かせた
その際、清美さんは「ちゃんと話します。話を聞いてください」などと懇願したが、松永は「電気をつけてから聞く」と、まったく応じようとはしなかった。そうした通電による暴行は翌16日の日中まで続き、その後も連日のように繰り返されることになる。
また、2月18日の午後10時頃には、通電に加えて腕を足蹴にするなどして、松永が「逃げた理由を5秒以内に答えろ」などと詰問。翌19日未明になると「血判状を書いてもらわんといけん。カッターで指を切って、血で〈もう逃げません〉と書け。書かんのやったら電気を通す」と脅し、清美さんにみずからカッターナイフを使って右手人差し指を切らせ、その血で〈もう二度と逃げたりしません〉と書かせて署名させると、緒方に命じてこの血判状を、部屋の押し入れの引き戸に貼りつけさせた。
「5分以内に爪を剥げ」
加虐心に火がついたかのように、松永は続いて清美さんに向かって、「写真を撮っておく。笑ったときに八重歯が出るから、すぐに特徴がつかめる。逃げたらこの写真であんたを捜してもらう」と、無理やり笑顔を作らせて写真を撮影。その際、緒方に命じて彼女の両眉毛を剃り落としている。
やがて松永は、緒方にラジオペンチを用意させ、清美さんに手渡しながら言う。
「5分以内に爪を剥げ。ここの親指」
松永が指差したのは彼女の右足親指だった。
清美さんは左手に持ったラジオペンチで爪の先端を挟み、ゆっくり引き上げて剥がそうとするも、激痛に耐えかねて出来ない。
「できません」と口にした彼女に対し、松永は「剥げんのやったら剥いでやる。あと1分しかないぞ」と、冷酷に言い放つ。その言葉に覚悟を決めた彼女は、痛みを一瞬にするため、勢いをつけて一気に爪を剥がした。
激痛が走ると同時に、親指から腰にかけてぞっとするような寒気が走り、剥がした部分からの出血で付近は血だらけになった。その痛みと恐怖感に耐えられず、清美さんは大声を上げて泣き出したという。
だが松永は、「そのままでいい」と放置し、緒方に命じて、さらに清美さんの首を洗濯紐で絞めるなどの暴行を加えたのだった。