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ワクチン開発を資金支援していたビル・ゲイツの陰謀?
一方、中国起源説に異を唱えるのは英米起源説だ。新型コロナウイルスが発生する前にそのワクチンの特許が出願されていた、と特許関係の書類付きで米国のトランプ信者で陰謀論者のユーチューバーから大拡散している。しかも、その研究を資金面で支えているのが米マイクロソフト社創業者の大富豪ビル・ゲイツ氏というのだ。
だが、その書類をみると、種類こそ数多あるコロナウイルスだが、細かくいえば鶏伝染性気管支炎ウイルスで、新型コロナウイルスとは無関係どころか、そもそも鳥の病気。しかも、ゲイツ氏のビル&メリンダ・ゲイツ財団は英パーブライト研究所を支援しているものの、その研究自体には支援していなかった。
だが、陰謀論は恐ろしい。ウイルス、大富豪、中国、米国、というだけで妄想を膨らませるには十分なキーワードだが、そこにワクチンまで加わると厄介だ。
ワクチンについてはワクチンの効用を否定する反ワクチン運動がネットでも現実世界でも一定の支持を得ており、実際に90年代以降、世界的に麻疹、風疹、おたふく風邪(MMR)ワクチンの接種率が下がっているとの報告もある。まるで天然痘用のワクチンが世界で初めて開発された200年前のころのようだが、ともかく、この「ワクチン」「反ワクチン」というのは迷信を信じがちな人々の琴線にさらに触れてしまい、陰謀論の広がりに拍車をかけてしまっているようだ。