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大どんでん返しの検察トップ人事! 前代未聞の「定年延長」が意味する安倍政権の“検察懐柔”

大どんでん返しの検察トップ人事! 前代未聞の「定年延長」が意味する安倍政権の“検察懐柔”

2020/02/02

source : 週刊文春デジタル

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「政治色のないリーダー」として林氏を慕う若手も多かった

 黒川氏と林氏は任官年が同じで、どちらも「司法修習35期」。学年でいうと林氏が1年若いが、同期でどちらが将来の検事総長になってもおかしくないと言われ、検察内では「35期問題」と呼ばれてきた。これまでのポストの経緯をみると、黒川氏の方が若干リードしてきたようにみえるが、検察内部では「最終的には林検事総長じゃないか」との見方も強かった。菅義偉・内閣官房長官など政権中枢に近い黒川氏に比べ、林氏は「政治色のないリーダー」として慕う若手も多いためだ。

林真琴氏 ©時事通信社

 そして、今回、その2人が雌雄を決する時が来た。どちらが検事総長になるのか。

 それは、現検事総長の稲田伸夫氏(63)の決断にかかっていた。検事総長の定年は65歳であるため、稲田氏は2021年8月の65歳の誕生日まで総長を続けられる。一方で、検事総長以外の検察官の定年は63歳。稲田氏がこのまま総長を続ければ、黒川氏は2月8日の誕生日で63歳になり、東京高検検事長のまま、定年退職を迎えることになる。

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「稲田氏は黒川氏の63歳の定年日より前にやめるつもりはない」

 検察内部でこの意向が明らかになった時、誰もが「黒川検事総長の目はなくなった。とすると、稲田氏は、(7月に63歳の誕生日を迎える)林氏を後任とするつもりだ」とみた。つまり、「稲田氏は、林氏が63歳の誕生日を迎える前にやめる」という構想だ。

 しかし、今回、世紀の大どんでん返しが起きた。内閣が「閣議決定」という形で、黒川氏の定年の半年延長を決めたのだ。発令は2月7日付で、黒川氏の定年は8月7日に延期された。この結果、ライバルの林氏が7月に先に定年を迎える見通しだ。

最高検察庁、東京高等検察庁、東京地方検察庁、東京区検察庁などが入る中央合同庁舎第6号館(東京都千代田区霞が関) ©時事通信社

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