年間売上はおよそ20兆円。2020年現在も娯楽産業の頂点に君臨しているパチンコ産業だが、その実態はホール数・売り上げともに減少の一途をたどっており、閑古鳥が鳴くホールも少なくない。
そんな娯楽産業の哀しき王様に、「そもそもパチンコとは何なのか?」という根源的な問いを投げかけ、メーカー、ホール、ファン、警察、さらにはカジノに依存症まで、業界を取り巻くありとあらゆる問題に斬り込んだ。
パチンコを愛し、半生を捧げてきた著者が業界に正面から向き合い、愛し、苦悶する。その末に行き着いた境地から見たパチンコの真実の姿とは、一体どんなものだったのか。『パチンコ滅亡論』(扶桑社)から一部を抜粋し、転載する。
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正体をハッキリさせたら死ぬ「玉虫色産業」
大崎 パチンコって時代に沿って変わってきただけじゃなく、見る角度と方向によって形も変わる、色も変わる。何とも奇妙な存在じゃん。それぞれの立ち位置によるパチンコというものがあっていいと思うわけで。すなわち、正体がはっきり見えないことこそがパチンコの本質ではないかなとも思うんだよね。
ヤング ホントにそう。よくグレーといわれるけど、玉虫色というのが正解かもね。実体がないのがパチンコであり、はっきりとは定義できない、正体がわからないっていう、そのことがまさにパチンコのアイデンティティではないかとすら思うもん。で、もしそうだとすると、無理やり正体をはっきりさせたら死ぬぞ、っていうことだから、今まさにパチンコは死に瀕してて、それが故のパチンコ滅亡論ってことなのかもわからんけど。
大崎 で、そのことを踏まえた上で、あえていま一度パチンコとはなんだろう?って考えることが大事だよね。……そういう観点からのパチンコ論はほかに見たことないわけだけど。
ヤング 「玉虫色のパチンコが自分には何色に見えるか?」を考えることで、自分にとってのパチンコって何なのかがはっきりするはずだから。というか、そういう視点がごっそり抜けたまま、ああでもない、こうでもないって言ってても、進まない話は多いんじゃないの? とも思う。
大崎 パチンコって、俯瞰してみると案外奥が深い娯楽だ、と思って打ってる人なんてほとんどいないわけよ。パチンコ業界自体も、儲かるぞ、金になるぞしか言わないし、結果としてアホしか集まってこない。で、そのアホの金がなくなったら潰れていく産業にしかなってないわけよ、現状を見る限りね。
ヤング 我々もアホの一翼ではあるわけだけど、少なくとも自覚はある(笑)。