「Jリーグと欧州のサッカーは別もの」の真意
――Jリーグは欧州とは別のものだという意見は元欧州組の選手からは良く聞きます。
「なぜ別のものという言い方をするかというと、Jリーグには独自の発展を遂げたサッカーがあるからなんですよね。良い悪いは別として、自分もそのリズムや流れについていかないと機能しない。だから日本に戻ってきたとき『活躍できるかはわからない』と言いました。ようやくJリーグのスタイルに合わせながら、プラスアルファで、球際や、1対1、切り替えの速さとか、欧州にいたからこそ身についた要素を見せられるようになりました。でも、『距離感が違うよね』とか、『迫力が違うよね』などと言ってもらいますけど、俺からしたらドイツにいたころの8割の力も出せていない。ドイツにいたときの感覚は失って、Jリーグに慣れすぎるのもよくない。そのへんは自分のなかでもう一度、気合いを入れ直して意識したいと思っています」
――でも帰国して神戸に加入したら、シュトゥットガルトやHSV時代よりも欧州トップレベルの選手たちとプレーすることになったのは少し不思議な話ではあります。
「ヴィッセルはJでは異色のチームですよね。普段からそういう選手のすごみを見たり、学べたり挑戦してみたりという特権があります。例えばイニエスタと1対1で勝負するとか、ルーカス(ポドルスキ)を止めてみるとか」
イニエスタは「テレビゲームみたい」
――彼らの凄さはどこで感じます?
「ひとりひとり特徴が違うと思うんですけどアンドレス(イニエスタ)の凄さは一言では言い表せられない。テレビゲームみたいなんですよ。なにかのボタンを押したら絶対にその強さで、絶対にそこに届くみたいな。シュートボタンを押したら、思い通りの角度で思った場所にシュートが飛んでくみたいな感じです。サッカー選手って止める、蹴るが一番簡単で、一番難しいんですよ。『なぜパスミスするの?』って見てる人は思いますよね。観客席からは全体が見えているから、パスが通るように見えますが、自分の体勢とか相手のプレッシャーとかあるので、1本のパスを通すことさえ難しいときがあるんです。それを何でもないように、普通にやるのがアンドレスです」