「クリエイター」などという浮ついた言葉は似合わない。ここにいるのはエンターテイメントの「実務者」である。あるいはアイデアがひらめき、それですべてを解決しようとする天才などには居場所がなく、ここにあるのは、地道と孤独、それにひたすら付き合い続ける胆力である。

 Netflixの『ARASHI’s Diary -Voyage-』最新話(第2話)は、そんなドキュメンタリーだ。

冷やかし半分に見始めたが心を持っていかれた

 筆者はこれを冷やかし半分に見始めたのだが、すっかり夢中になり、終いには稽古場を去る松本潤に「お疲れ様でした」とつぶやきたくなるくらい、トリコになってしまうのだった。

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 昨年末に公開された第1話の自己紹介パートで松本潤が「嵐の5分の1です。今現在動いているプロジェクト全体のクリエイティブのディレクション、プロデュースというものをやっています」と自らの役割を述べたとき、浅はかにも「意識高い系の学生かよ」と思ったのだけれども、それがくつがえされていくのである。

「アイドル」の舞台裏、なんて生易しいものではない。エンターテイメントを作り上げるために、時間をかけるだけかけていく、思慮深い「実務者」の姿に心をもっていかれたのである。

 それは一体どんなものなのか。

 
   第1話「二十年」は、嵐について、あるいは活動休止についての想いをメンバー各々が語っていく。短めのカットでつないでいくため、それぞれの懊悩はたいして見えてこない。ただ二宮和也だけが活動休止への想いが他と異なり、そこにメンバー間の葛藤の火種をみるくらいで、プロローグらしく、どうもこうもないものであった。