著者はイタリア生まれの理論物理学者。「ループ量子重力理論」という、「超ひも理論」とならび、一般相対性理論と量子論を結ぶ有力な理論の提唱者のひとり。その知見を文学的な味わいのある美文へとまとめあげる手腕は、「ホーキングの再来」とも称されている。2014年に刊行した『Sette brevi lezioni di fisica』(邦題は『世の中ががらりと変わって見える物理の本』)は、世界中で愛され、累計100万部を超えるベストセラーに。本書も、原著は本国で18万部を売り上げた話題作。物理学の理論をもとに、読者の「時間」概念の理解を決定的に変容させる。そんな抽象的で難解なテーマであるにもかかわらず、日本語版も5万部に達したというから驚きだ。
「巧みな比喩や、文学や哲学の引用を織り交ぜて、文系の人間が読んでも感覚的にわかる本になっています。物理学の本として魅力的な内容であると同時に、ある種の思想書、人文書のような味わいもあるんです」(担当編集者の加納展子さん)
帯にコメントを寄せた芥川賞作家・円城塔に始まり、角幡唯介、坂本龍一らさまざまなジャンルの識者から支持され、読者を増やした。
「主な読者層は40代から60代の男性です。最先端の知を、専門家だけではなく、広く一般の人に伝えたい。識者も含め、そんな著者の熱意に共鳴する読者が多い印象です」(加納さん)
2019年8月発売。初版6000部。現在7刷5万部