今どんな本が読まれているのか? 時代背景を読み解く前田久さんによる「週刊文春」の人気連載「ベストセラー解剖」より、今年前半に読まれた本を振り返ります。
(対象は「文春オンライン」2017年1月29日~7月11日公開の記事です。本の部数は記事公開時のものであり、現在は異なる場合があります。ご了承ください。)
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●2017年前半は、時代ものがヒットした
安定した人気の歴史関連書から、今年前半は少し毛色の違う書籍が頭角を現しました。昨年の「真田丸」ブーム余波もあったかもしれません。
『日本100名城に行こう』 (公益財団法人 日本城郭協会 監修)
成功例の少ない「応仁の乱」で18万部。日本史研究に新たなスター誕生か
『応仁の乱』(呉座勇一 著)
●引退世代の「生き方」を描いた
これもよく読まれました。超高齢化は喫緊の課題です。社会全体から俯瞰すると同時に、ひとりひとりの視点に立つことも、本質を捉えるのに欠かせません。
『100歳の精神科医が見つけた こころの匙(さじ)加減』(髙橋幸枝 著)
『定年後』(楠木新 著)
寿命100年時代、あなたはどう生きますか? 新しい人生戦略を提示した『LIFE SHIFT』が14万部のヒット
『LIFE SHIFT(ライフシフト)』(リンダ・グラットン アンドリュー・スコット 著)
もはやマイホームは資産ではない。住宅問題の真実を描いて5万5000部売れた本
『老いる家 崩れる街』(野澤千絵 著)
●ビジネス本は、「シンプル」「マインドフルネス」「図解」がキーワード
仕事のノウハウだけでなく、精神面の強さがビジネスの世界で注目されています。タイトルが長めで、本の内容がつかみやすい。
『世界のエリートがやっている 最高の休息法』(久賀谷亮 著)
『「言葉にできる」は武器になる。』(梅田悟司 著)
なぜワークライフバランスは実現しない? 職場の問題を図解して5万6000部
『職場の問題地図』『仕事の問題地図』( 沢渡あまね 著)
成功するには「IQ」より「グリット」 やり抜く力の大切さを伝えて28万部
『やり抜く力 GRIT』(アンジェラ・ダックワース 著)