韓国では4月の総選挙(国会議員選挙)に向けての動きが本格化しているが、ここのところ青瓦台や与党「共に民主党」の迷走ぶりが目立っている。その背景にあるのは「総選挙での勝利がキャンドル革命の完遂」と豪語するまでになっていた圧倒的優位が崩れかけていることへの「焦り」だという。

機能不全に陥っている青瓦台

「被害者中心主義は(私が)弁護人だったという経験や大韓民国の立場とは関連性のない、国際社会の中での原則」(聯合ニュース2月11日)(聯合ニュース2月11日)

 文在寅大統領が読売新聞の記事についてこう反駁した。同新聞が、文大統領がかつて元徴用工裁判を弁護士として担当したため、「弁護士の思考回路から抜け出せず、大局的な判断を下せないのではないか」(2月11日)と報じたことに反応したのだ。するとその日の午後には青瓦台関係者が文大統領のコメントをメディアに伝えた。「これには驚いた」と言うのは中道系紙記者だ。

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文在寅・韓国大統領 ©AFLO

「他国メディアの報道に直接反駁するのも異例ですし、コメントを青瓦台関係者の形で出したことも異例中の異例です。この件で青瓦台が4月の総選挙の影響で機能不全に陥っていることがはからずも露呈しました」

 青瓦台のスポークスマンや秘書官など70人ほどが4月の総選挙に出馬するため辞めたといわれており、そのため、大統領府としての本来の業務が正常に処理されていないという指摘だ。

 この翌日には、『GSOMIA廃棄論 青瓦台で再浮上』(中央日報2月12日)という報道が飛び出した。

「青瓦台はすぐにこれを否定しましたが、『GSOMIA(軍事情報包括保護協定)』の3月破棄説が出回っていたのは事実です。

 昨年夏に安保上の問題を建前にした日本の輸出規制について、韓国はGSOMIA破棄という愚策を持ち出しましたが、経済的に圧力をかけた日本への反発から大統領や与党の支持率は一時的に上がりました。ですから、今回『GSOMIA廃棄論』の噂が流れたのは総選挙で“反日、反米カード”が使えるかどうか、世論の反応を図るための“アドバルーン”だったというのが大方の見方です。それだけ、政府・与党が焦っていて余裕がなくなってきている証拠です」(同前)