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平均最低気温-16度、人間よりホッキョクグマが多い地で「世界最北の寿司」を食べてみた

2020/03/13
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 1月の平均最低気温は-16度 。 数字だけ見ると想像するほど寒くないが、冬は強風が吹き荒れるため体感温度はさらに10度ほど下がる。

1月のロングイェールビーン空港は昼でも真っ暗。ボーディングブリッジがなく、飛行機の外に出た直後からいきなり寒い。

 ロングイェールビーンは一般の人々が定住する世界最北の町だ。ノルウェー統計局によるとスヴァールバル諸島の人口は2,379人(2019年10月時点)。驚いたことにこの数字には日本人居住者も含まれている。ちなみにスヴァールバル諸島に生息するホッキョクグマは約3,000頭。人間よりもホッキョクグマのほうが多いだけあって、空港のターンテーブルではホッキョクグマのはく製がお出迎えしてくれる。

ロングイェールビーン空港のターンテーブルに飾られたホッキョクグマ。

 ホッキョクグマが町中に出現することはそうそうないが、町を離れると『ホッキョクグマ危険』の標識が現れる。どう猛なホッキョクグマから身を守るために町から出る場合は必ず銃を所持しなければならない。この珍しい標識はスヴァールバル土産として様々な商品にデザインされている。

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ホッキョクグマのシルエットが可愛い『ホッキョクグマ危険』を知らせる標識。

北極の名物天気「地吹雪」を体験

 スヴァールバル諸島の天気は連日地吹雪。地鳴りのような低い音が鳴り響く。連れ立った友人は7年前にマイナス30度のフェアバンクス郊外で出会い、(寒すぎて外出したくないがために)アメリカの伝統的文化カウチポテトを日々実践した時からのダメ旅行仲間だ。「地吹雪が落ち着いたら出かけよう」と二人してソファに沈みこんだが、冬のスヴァールバルは何時間たっても風がやまないのが特徴だと分かっての発言だ。

下から雪が吹き荒れるロングイェールビーンの地吹雪。