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私が入信したカルト、どんなところ?

 私がいたカルトについて具体名は出しませんが、多少カルト宗教について興味を持っている方ならご存知かもしれません。キリスト教系の新宗教で、教祖はキリストに続いて地上に現れた救世主であり真の父だと主張している団体です。

 宗教の教義は、真の父である教祖の名のもとに、悪魔によって堕落していない「真の神の子」としての人格を完成させること。そして、同じく人格が完成した「真の神の子」、要するに同じ教団の信者を配偶者として教祖に選んでもらい、「真の家庭」を作ること。最終的には世界中を一つの家族にして平和の内に統一することでした。

 私がいたカルト宗教が、ホルガ村や、かつての麻原彰晃のオウム真理教、ジム・ジョーンズの人民寺院などのように教団主導で人殺しを行ったという事例は私が知る限りはありません。ただ、献金活動や伝道活動の違法性が認められ、霊感商法やマインドコントロールが社会問題になったこともあるので、彼らが不快な隣人なのは確かです。

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カルト宗教あるある1:親近感アピール

 さて、映画『ミッドサマー』の描写と、私のカルト宗教での体験で重なるものは、大まかに分けて3つありました。第一に、ホルガ村の女性がダニー達に「向こうで『オースティン・パワーズ』を子供たちが見ているけどあなたたちはどう?」という旨を話すシーンです。

『ミッドサマー』より ©2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved.

 一見社会と隔絶された村人のイメージに合わないポピュラーな映画のチョイスがユーモラスで、ダニーたちや映画を見る観客がホルガ村に対する親しみを深められる場面と言えるでしょう。

 私はここで、勧誘を受けて連れて来られた施設で出会った先輩たちのことを思い出しました。そこで会った人たちは一様に気さくで優しく、なにより純粋でした。自分から人と関わろうとするタイプではない私ですらも好感を持てる素晴らしい人たちだったのです。彼らは聞き上手で、大学生活の話だけでなく、『ターミネーター2』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』などの好きな映画の話や、『ジョジョの奇妙な冒険』や『グラップラー刃牙』などの好きな漫画、色々な話で大笑いして盛り上がったのを覚えています。

 その先輩たちの姿は、日曜日に「聖書に興味はありますか」と言ってパンフレットを置いていく人たちや、数珠やお札をぶら下げて神に縋る心の弱い人たち、というような一般的なカルト信者のイメージからは遠く、私はその団体や先輩たちに対して、心のガードを下ろしていきました。

 ホルガ村のことを何も知らないまま村の文化や人々に好意を抱いていくダニー達はかつての私そのものだったのでした。