昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

BTSからペ・ヨンジュンまで 韓国芸能界「新型コロナ寄付競争」はなぜ起こる?

寄付額リストも流布……「善きビルオーナー運動」ってなに?

2020/03/19

source : 週刊文春デジタル

genre : エンタメ, 映画, 社会, 国際, 芸能, ヘルス, 経済, 音楽

「善きビルオーナー運動」とは?

ビルオーナーの1人、俳優のペ・ヨンジュン ©️文藝春秋

 さらには、芸能人による「善きビルオーナー運動」も始まった。「善きビルオーナー運動」とは、新型コロナの感染拡大で経済的打撃を受けている自営業者らのために、ビルオーナーが一定期間、賃貸料を受け取らなかったり、値引きしたりする運動だ。

 韓国は「不動産不敗」という言葉があるほど不動産バブルが続いていて、ビルオーナーになることが韓国の青少年たちの夢、とまで言われている。過酷な競争で活躍する期間も限られる韓国の芸能人たちも、不安な未来の備えるようにして「ビル購入」という財テクに夢中になっている。

 ペ・ヨンジュン、チャン・グンソク、ソン・スンホン、チョン・ジヒョン、ユナ(少女時代)、ハン・スンヨン(KARA)、IU、D-LITE(BIGBANG)など、名前を挙げ始めたらきりがないほどの多くの芸能人が、数十億から数百億ウォンにもなるビルを所有している。ビルを買えるようになって初めて「いよいよ一流の芸能人になった」と評価されることがあるほどだ。さらに芸能人が所有するビルは「芸能人プレミアム」が付き、周辺の相場より高い賃貸料が取れるとされている。

 そんなビルオーナーの芸能人は、今回、次々に「善きビルオーナー運動」に加わった。分かっているだけでも、韓流スターカップルのキム・テヒ&RAIN夫妻をはじめ、ウォンビン&イ・ナヨン夫妻、チョン・ジヒョン、パク・ウネ、ソ・ジャンフンらが参加している。

ファンクラブも巻き込んで……

 なぜ、韓国芸能人の寄付活動はここまで活発なのか。その理由について、文化評論家で東亜放送芸術大学教授のキム・ホンシク氏は、筆者の取材に次のように説明する。

「韓国では、ボランティアや寄付に積極的な芸能人を『概念芸能人』と呼んで評価します。特に若者の間で『概念芸能人』とされると圧倒的に評価が高まるため、芸能人にとっては、個人的にブランド価値を高める役割を果たしているのです」

 ちなみに、韓国では考え方や行動が社会規範に反する人を「概念がない(常識がない)人」、逆に、模範となる人を「概念人」と表現する。似たような表現では、「ソーシャル(social)」と「エンターテイナー(entertainer)」の合成語である「ソーシャルテイナー(socialtainer)」という造語まで生まれている。

 芸能人のこうした行動は、そのファンにも影響を与えている。前出のキム教授が説明する。

「芸能人の寄付のトレンドが個別的な行動に止まるのでなく、ファンとのコラボ寄付やボランティア活動にまで繋がっている。これまでのファン文化といえば、自分の好きな芸能人に豪華なプレゼントを贈ったり、ライバル芸能人に悪質な書き込みをすることだったが、最近は社会に貢献する文化へと変化している」

 象徴的なのが、BTSのファンクラブ「ARMY」の事例だ。

ファンクラブ「ARMY」も新型コロナ対策の寄付に動いたBTS  ©︎AFLO

 大邱が故郷のBTSのメンバーのシュガが、新型コロナ感染拡大の予防などのため、大邱へ1億ウォンを寄付すると、ファンクラブである「ARMY」もこれに賛同。新型コロナでキャンセルされた4月のソウルコンサートチケットの払い戻し金をそのまま全額寄付したファンも多く、BTSとARMYによる寄付総額は合わせて4億ウォンに迫るほどにまでなっている。